【患者】60代前半、女性
【主訴】腰が痛くて立ったり座ったりがつらい、ぎっくり腰
【既往歴】橋本病、急性腰痛
【現病歴】約1週間前に半日立ちっぱなしの仕事と長距離の移動が重なり、翌日の朝に痛みで起き上がることができなかった。安静にしていたら、ある程度は動けるようになったのでコルセットを巻いて仕事をしていたが3日前に腰部から臀部の激痛でまた動けなくなってしまった。
続きを読む
【現症】来院時は何とか人の肩を借りて歩けるような状態だった。数日前から人の肩を借りれば何とか歩けるようになったとのこと。椅子に座る際も動作は緩慢で腰部から臀部、大腿部後方に痛みが走る。左右差とも痛みがあり、痛みの左右差の自覚は不明、腰部中心部分から仙骨周辺に刺すような痛みがある。椅座位の姿勢になるまでの動作は痛みがあるため緩慢。椅座位から立位になる時も動作は緩慢であり、腰部から臀部、仙骨周辺に強い痛みが発生している。
【施術と結果】本症例は、約一週間前に発生した激痛から始まり、数日前に再発した腰部から臀部、大腿部後方の痛みである。
痛みが発生している腰部・臀部・仙骨周辺を触察すると、筋緊張は触知されるが激痛を発するような目立った緊張は見当たらない。
腰椎1番周辺・肋骨12番周辺の腰部筋を触察すると強い筋緊張を触知した。
仕事上も立位での前のめりの作業が多いとのことなので、上部腰椎周辺の筋を日頃から酷使していると推察する。
約1週間前に起こった激痛も過度な仕事の後に起こっていることから上部腰椎周辺の筋に要因があると判断する。
胸腰部側屈の動きに多少制限があり、中心部分の筋は収縮が少なく弛緩に時間がかかる状態であることから、筋の弛緩部位は関連する肋骨12・11番先端周辺とした。
肋骨12・11番先端周辺に筋へ約5分の緩消法を行い、筋が弛緩を触知したので一度、動作の確認を行う。
椅座位から立位への動作が来院時よりスムーズになったとのこと。
痛みについては自覚がないとのことであったが、動作の変化があった為、引き続き肋骨12・11番先端周辺への緩消法を続ける。
約10分、緩消法を行い筋の弛緩を触知したので最終的な動作と痛みの確認を行う。
椅座位から立位への動作がさらにスムーズになった。
腰部と仙骨周辺の痛みが10から5(NRS改変)と半減した。
帰る際には人の肩を借りることなく、一人で歩くことができるようになった。