【患者】40代後半、男性
【主訴】椅子に座っていると臀部周辺が痛くなる
【既往歴】急性腰痛、腰椎椎間板ヘルニア
【現病歴】約20年前から腰痛に悩んでおり、近医整形外科に受診時した際には腰椎椎間板ヘルニアと診断されている。手術は避け、投薬治療を続けていた。仕事内容がデスクワークから立ち仕事に変わり、腰痛は軽減されてきたが、特別な誘因なく両足にしびれが発生し始めた。自分でメンテナンスをし、左足のしびれは消失したが、右足のしびれは残存している。その後、症状の変化がないままだったが、数か月前より椅座位時に会陰部に痛みが発生し始めた。座っていられる時間が徐々に短くなっていき、現在は約5分の椅座位で痛みが発生し、約10分で我慢できないほどの痛みになる。
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【現症】来院時、椅座位にて話をしていると、本人が話すように約5分で会陰部周辺に痛みが発生した。立位になれはば会陰部周辺の痛みは引いていくが、座ると約5分で痛みが発生する。右足のしびれもあったが、日常生活の中では気にはならないとのことだった。
【施術と結果】本症例は、椅座位の継続による会陰部周辺の痛みである。本院での椅子は、クッション性のある椅子であったが、木製のクッション性が低い座面であっても痛みが発生する時間に差はないとのことだった。座面の硬さにより症状に差がないことから、会陰部周辺の圧迫により痛みが発生するのではなく、ほかの要因にて会陰部周辺に痛みが発生していると考えた。
会陰部周辺の痛みに関連する腰部の筋を触察すると硬結のようなものがある。腰部の筋にある硬結のようなものを施術箇所とし緩消法を行う。約3分、緩消法を行い筋が弛緩したので、椅座位になり痛みの確認を行う。約5分を超えても会陰部周辺に痛みが発生することなく椅座位を継続することができた。その後、椅座位にて腰部に緩消法を継続したが、約20分が経過しても会陰部周辺に痛みが発生することはなかった。