約3年前の交通事故によるむち打ち症後遺症の軽減効果
【患者】40代後半、女性
【主訴】安静時でも首が痛く動かす角度により痛くなる
【既往歴】むち打ち症
【現病歴】約3年前に自動車の正面衝突による交通事故に合う。交通事故後、近医整形外科で応急処置をし、予後は良かったが数か月後から首に痛みが発生し始めた。痛みは徐々に首全体に広がり、不定期に片頭痛にも悩まされるようになった。近医整形外科にて鎮痛剤の投薬を継続していた。
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【現症】現在は片頭痛の頻度は減少したが、常時知覚している首の痛みは継続している。
安静時でも痛みがあり、痛みの範囲も曖昧であり頚部の上部から下部に発生しており、左右差も曖昧な状態だった。
頚部の可動については動かすことはできるが、頚部を動かす角度により痛みが憎悪し、どのように動くと痛みが発生するかは曖昧だった。
【施術と結果】本症例は、約3年前の交通事故の後遺症による頚部痛である。投薬治療を継続しており、近医整形外科より頚部の損傷による痛みはないとのこと。定期的に通院し、頚部に損傷がないことから急性の痛みや炎症などはないと仮定する。
頚部を触察すると筋の緊張はあるが、局所的な筋緊張は見当たらず全体的に筋緊張している。本人の自覚症状としても頚部痛は局所ではなく、頚部全体に広がっており曖昧さが目立つ。可動時の痛みに関しても曖昧であることから、頚部への直接の施術をしても効果は薄いと判断した。
頚部に関連する筋である上部腰椎高位周辺を触察する。第1腰椎高位・第1腰椎棘突起より左右約4㎝の両側に強い筋緊張がみられる。頚部痛に関連する筋緊張であると判断し、第1腰椎高位・第1腰椎棘突起より左右約4㎝の両側周辺を施術個所とする。
第1腰椎高位・第1腰椎棘突起より左右約4㎝の両側周辺に約3分、緩消法を行い、筋弛緩を確認した。頚部の痛みが10から5(NRS改変)と半減した。
第1腰椎高位・第1腰椎棘突起より左右約4㎝の両側周辺の筋が弛緩するにつれ痛みが軽減するのを自覚した、と本人の談。
広い面積の頚部痛が腰部の筋弛緩により軽減した一例であり、自覚症状部位への施術以外でも効果がみられた症例だった。