【患者】70代後半、女性
【主訴】階段を上ると膝が痛く力が入りづらい、階段を下りると膝から激痛があり頭に抜けていく。
【既往歴】変形性膝関節症、高血圧症
【現病歴】30年以上前から膝には痛みがあるが日常生活には支障がなかったので放置していた。近医整形外科に受診の際に変形性膝関節症と診断されたが特に治療はしなかった。
約20年前から近所の整体院や接骨院にて施術を受け、自分で体操や運動などを続けていた。
約10年前、階段を下りた際に膝に激痛が走った。近医整形外科に受診し検査を受け、変形性膝関節症が進行しているといわれ湿布薬を処方された。その後、時間の経過と共に痛みは強くなり、階段を下りるのは激痛で困難になった。階段を上るときにも痛みがあり、さらに力も入りづらく膝に手をついて上がるのがやっとの状態になってしまった。
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【現症】来院時、歩行時に体幹が左右に大きく振られており、下肢O脚になっているように見えた。痛みは左膝が特に強く、歩行時にも痛みが発生しており、右膝の痛みは、左膝と比べると半分程度の痛みとのことだった。
【施術と結果】本症例は、30年以上前から続いている膝痛である。約20年前から整体や自己メンテナンスや体操などを続けており、約10年前に悪化し、その後にさらに悪化し続けている。20年以上、膝への施術やメンテナンス、体操などを続けて現在の膝の痛みが悪化していることから膝周辺の筋が発生源としての痛みではないと推測した。近医整形外科にて膝関節周辺の骨膜の異常による激痛ではないと判断されていることから、骨膜の損傷や外科措置は必要のない痛みと思われる。
左膝周辺を触察すると筋緊張と共に腫脹のような膨らみも触知できる。痛みの発生部位を本人に尋ねるが発痛場所が曖昧であり、痛みの発生部位を特定することはできない。膝周辺の筋を弛緩しても痛みの軽減はしないと推測しているので、膝の痛みに関連する部位として腰の筋への触察を行う。左右ともに筋の緊張がみられるが、第4腰椎棘突起より左に約5cm・第4腰椎高位左側背面より前面に約2cmに硬結のような筋緊張が触知できる。膝との関連がある筋の手前ではあるが、膝痛の関連する部位に隣接しているため施術部位とする。第4腰椎棘突起より左に約5cm・第4腰椎高位左側背面より前面に約2cm周辺に緩消法を約3分行う。
筋の弛緩を確認された際、本人より左足に変化がある、と話されたことから痛みの確認を行った。歩行をすると右膝の痛みが10から8(NRS改変)と軽減した。
痛みの軽減は少なかったが、今まで痛みの変化や軽減することはなかった、と喜んでいた。引き続き第4腰椎棘突起より左に約5cm・第4腰椎高位左側背面より前面に約2cm周辺に約20分の緩消法を行い当日の施術を終了した。
後日、来院の際に10段ほど階段を上ることができるようになり、階段を下りる際の膝の激痛はなくなったとのことだった。
残存する膝の痛みもあるため今後も施術を継続し完治を目指したい、と話されていた。