【患者】80代前半、男性
【主訴】夜、寝ていると左ふくらはぎが捩れるように硬くなり激痛が走る
【既往歴】脳梗塞
【現病歴】6か月前に脳梗塞を発症。近医脳外科の見解では、軽度の脳梗塞とのことで麻痺や運動障害はほとんど出なかった。その後、夜の就寝時に左下腿の筋が捩れるような感覚に襲われ激痛が走った。
それからは毎晩、左下腿の筋が捩れるような感覚が起こり激痛に悩まされている。近医整形外科にてリハビリテーションを続けて、毎日の歩行や日常生活は可能になっている。
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【現症】来院時、歩行は遅いが可能で、念のため杖ついて歩いている状態だった。
主観ではあるが多少、聴力が落ちているように感じたが、脳の問題ではなく、年齢が80歳を超えているので年齢的なものであると思われる。言葉も流暢で、会話は普通に可能。
自覚症状としては腰部・背部に痛みはあるが、本人は悩んではおらず、夜、左下腿の筋が捩れるように硬くなり痛くなるのを解決したいとのことだった。
現状、椅座位にて、左右の下腿に痛みがあり、左の下腿のほうが痛みは強い。立位にては、左右の下腿に痛みがあり、左の下腿のほうが痛みは強い。
【施術と結果】本症例は、6か月前に脳梗塞を発症しその後、現れた就寝時の左下腿の激痛である。近医脳外科では、再検査と定期的な脳検査でも脳梗塞による損傷は修復されて異常はないと言われている。常時、脳からの電気信号の途絶や脳梗塞による壊死の広がりはないとして施術を進める。
最初に主訴である就寝時の左下腿の筋が捩れるような感覚が起こり、激痛が走る状態の要因を探す。左下腿を触察すると、左腓腹筋外側頭上部周辺の筋緊張は強いが、約2cm深部に棒状の硬結のような筋を触知した。本人から、左腓腹筋外側頭上部周辺の硬結のような筋周辺が、夜中に激痛が走る場所とほぼ同一とのことだった。
現在自覚がある左下腿の痛みの要因であると共に、就寝時の左下腿の痛みの筋であると判断し、左腓腹筋外側頭上部周辺の筋を施術個所とする。
左腓腹筋外側頭上部周辺に緩消法を約2分行うと筋の弛緩を触知したので痛みの確認を行う。立位にて左の下腿の痛みが10から8(NRS改変)となった。現状の痛みに変化があったことから、同一箇所に約5分、緩消法を行い、筋弛緩を継続し、その日の施術を終了した。
本人より、後日来院時、毎晩起こっていた左下腿の筋が捩れるような感覚が起こり激痛が走ることが1日だけなかったとのことだった。
半年以上、毎晩起こっていた左下腿の激痛が、昨夜はなかったので久しぶりに睡眠がとれたと喜んでいた。