【患者】70代前半、女性
【主訴】左腕が引き攣って上がりにくく、動かすと肩に痛みが出る
【既往歴】リンパ腫
【現病歴】2週間前に左の肩関節から鎖骨の下にかけて腫脹のようなものが現れた。痛みと共に大きくなっていったが、1週間ほどで徐々に小さくなり、現在は幅約10センチ、高さ約5センチの大きさになっている。
表面は薄皮が剥がれるように荒れた状態で、灼熱感のような痛みもあり、本人が触ると熱を持っている感じがする、との事。腫脹のようなものは徐々に小さくなっているが、肩の動きに制限がかかり始めていることが問題になっている。
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【現症】本人の主訴である左肩関節の動きの確認を行う。左肩部自動関節可動域(以下、ROM)は屈曲約100°で、肩関節の前面周辺に痛みが発生し、腕が外側に反れてしまう。
【施術と結果】本症例は、左肩関節から鎖骨の下にかけての腫脹による可動制限と痛みである。左肩部ROMの制限は腫脹のようなものに要因があると思われるが、左肩関節から鎖骨の下の腫脹周辺の筋が緊張と共に、腫脹周辺の皮膚にも影響し引き攣っていることで可動制限や痛みが発生していると推測した。だが痛みが発生している左肩関節から鎖骨の下周辺には腫脹のようなものがあるため、損傷の可能性を考慮し左肩関節から鎖骨の下周辺への施術は避ける。間接的に左肩関節から鎖骨の下の筋に関連している腰部や下部肋骨周辺の筋を触察する。左第12肋骨先端周辺に筋緊張が触知されたため施術個所とした。
約3分、左第12肋骨先端周辺の筋に緩消法を行い、筋の弛緩を確認した。
左肩部自動ROMは屈曲約100°での痛みが10から0(NRS改変)となった。
更に左肩部自動ROMの屈曲をすると、約130°で左肩関節の前面周辺に痛みが発生した。痛みの発生個所がほぼ同一箇所である為、引き続き左第12肋骨先端周辺の筋に緩消法を行った。約5分、左第12肋骨先端周辺の筋に緩消法を行い筋弛緩を確認した。
左肩部自動ROMは屈曲約130°での痛みが10から5(NRS改変)となる。
腫脹のようなもので自動ROMに制限が発生していたが、関連する筋の弛緩によって自動ROMに改善が見られた一例であった。