【患者】40代後半 男性
【主訴】「3か月前にめまいが出て、その後1か月前に難聴になった。2週間入院して高圧酸素治療を受けたけど、聞こえ方が変わらない。」
【既往歴】
うつ病
不眠症
めまい(1週間の点滴治療歴あり)
【現病歴】約3年前、職場での問題を契機に休職するほど体調を崩した。その後、転職し復職していたが、約3か月前に強いめまいが出現し、約1週間の点滴治療を受けためまいは改善した。
しかし、約1か月前に左耳の難聴を発症し、約2週間の入院治療および高圧酸素治療を受けたものの、症状の改善は認められなかった。
続きを読む
【現症】健側の右耳を10とした場合、患側左耳は主観で音量・音質ともに2程度との訴えであった。
【施術と結果】本症例は、既往歴や発症までの経過から、頚部に強い筋緊張が残存している可能性を推察した。触察にて、頚部に健側と比較して強い筋緊張を確認し、施術開始部位とした。
初回施術では、施術開始から約2分で弛緩を触知した。この時点で音量に変化はみられなかったが、患者からは「音質が少し良くなった感じがする」との報告を受け、音質は主観で2から3へと変化した。
その後も頚部への施術を継続し、弛緩を確認しながら合計約50分施術を行った結果、音量は主観で3、音質は4まで改善したとの報告を受けた。
2週間後に再来院され、前回施術後の聞こえ方が維持されているとの報告を受けたため、同部位への施術を継続した。約50分の施術後、音量は主観で4、音質は5まで改善したとの報告を受けた。
【考察】本症例は、約1か月前に発症し、入院加療および高圧酸素治療を受けても改善がみられなかった左耳難聴に対し、頚部の筋緊張を弛緩させることで、音量および音質の主観的改善が得られた一例である。特に、初回施術後の変化が2週間維持されていたこと、および再施術後にさらなる改善が得られたことは、頚部筋緊張が聴覚機能に何らかの影響を及ぼしていた可能性を示唆する。
また、めまいから難聴へと至る経過や精神的負荷の既往を踏まえると、頚部周辺の持続的な筋緊張が循環や神経伝達に影響していた可能性も考えられた。
【その他】本症例は医学的診断および治療を目的としたものではなく、緩消法による筋緊張の弛緩に伴う身体反応を記録した症例報告である。