【患者】50代後半、女性
【主訴】膝の内側が痛くて正座が出来ない。
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】約9ヶ月前、登山に行った後から膝痛が発症し、正座ができなくなった。1ヶ月経っても改善しないため、近医整形外科を受診。MRI検査を行い「半月板断裂」の診断を受けた。注射治療(内容詳細不明)を受け2ヶ月ほど調子が良かったが、その後痛みが増加してきた。知人の勧めもあり当院へ来院。
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【現症】立位から正座位への移行動作(以下、正座動作)において、右の踵殿距離(heel buttock distance: 以下、HBD)約15cmで右膝蓋骨内側遠位部に痛みが出現し、完全な正座位ができない。触診にて、関節内水腫は認めなかった。
【検査結果】内側半月板損傷あり(他院持参MRI)
【施術と結果】本症例は、歩行時痛は無いが正座動作において痛みが出現し正座位が取れない事と、右膝痛と同時に右大腿部前面の引張感を触察にて確認できたため、これが主訴に影響していると考え、右上前腸骨棘付近の筋緊張に要因があるものと考えた。従って、最初の施術開始箇所を上前腸骨棘付近とした。
施術者①の施術開始から約90秒で筋弛緩を確認。正座動作による痛み出現時のHBDは約10cmへと改善した。
次に施術者②へ交代。改善がみられた事から同箇所への施術を継続。約5分で筋弛緩を確認。正座動作による痛み出現時のHBDは約5cmに改善した。
更に施術者①へと交代し、同箇所への施術を約15分実施。正座動作による痛み出現時のHBDは0cmとなり、痛みはあるが正座が可能となった。
痛みは残っているものの、施術前の痛みと比較すると10から3(NRS改変)と小さくなったと報告を受けた。また、「何をされているのかよくわからないままだったが、正座が出来るようになったことに驚いた」と驚かれていた。総計約45分の施術であり、残り時間は再発抑制の為に必要と考えられる上前腸骨棘付近の筋群と繋がる腰部側面筋群の施術を行い終了した。
【考察】MRIにて明らかな半月板損傷が存在していても、膝と関連する筋群の筋緊張を減らすことで、痛みや可動域が改善できた症例であった。
【その他】本症例は、当院にて、緩消法認定技術者の①渡邉②秦の2名で順次施術を行った症例であり、施術者を変更しても緩消法の効果を確認出来た症例であった。尚、本症例の現症での触診と検査は施術者②が行った。