一か月以上続く腹部右側の引張感を伴う安静時痛の改善例
【患者】60代後半 男性
【主訴】お腹の右側に突っ張る様な痛みが出て不快
【既往歴】左(2年前)右(5年前)肺がん術後
【現病歴】
一か月前頃より誘因なく腹部右側肋骨下に引張感を伴う痛みを感じるようになった。椅坐位でいるときに発生することが多く、寛解と増悪を繰り返す。運動時は気にならない。
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【現症】
主に椅坐位の時に誘因なく右第8肋骨、右第9肋骨の肋軟骨下縁から右腸骨稜の間に引張感が発生し、引張が続くと痛みを伴ってくる。関節可動域制限は確認できない。
【施術と結果】
本症例は、腹部右側の内腹斜筋と思われる筋に、安静時の引張感を伴う痛みを訴えており、左右の肺がん術後でもあることから、要因は胸腰部の筋緊張により発生していると考えた。
触察にて痛みを訴えている右肋軟骨下から右腸骨稜を触察すると長さ約6cm、幅約0.5cmから1.5cm大のしこりのような筋緊張を確認した。先ず、右肋軟骨下の筋緊張部位に約2分施術し、右肋軟骨下の筋付着部より約0.5cm筋弛緩を確認した結果、ご本人主観で引張感が2割減と報告を受けた。そのまま施術を約5分施術を行い、長さ約5cmとなり、引張感が腸骨稜付近に移行したと報告を受けた為、次に右腸骨稜の筋付着部の筋緊張部位を施術することとした。
約3分施術し、長さが約4.5cmになった結果、引張感は無くなったと報告を受けた。その後、長さ約3cmまで筋弛緩を行った。筋緊張はまだ残存しているので、経過観察をして下さいとお伝えし、その日の施術を終了しましたが、ご本人も腹部に筋緊張があることは認識されていたので、引張感が無くなったことだけでも安心しましたとお話しくださいました。