【患者】50代前半、男性
【主訴】親指を反らせると痛い
【既往歴】関節リウマチ、急性腰痛症
【現病歴】約1年前、右拇指を反らせると拇指中手指節(以下、MP)関節に痛みが発生した。過去に関節リウマチを患っていたが、その時は痛みもなく投薬も終了していたが、再発してしまったのかと思い近医整形外科に受診した。検査をするが関節リウマチの疑いはなく、右拇指の損傷もないとの事だった。
日々の生活をすることはできるが、服の着脱や食事の時などに、不意に右拇指に痛みが走るので不安が募っていった。
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【現症】来院時、右拇指の動きと痛みの状態を確認した。右拇指自動関節可動域(以下、ROM)は撓側外転約60°で右拇指MP関節周辺に痛みが発生する。撓側外転以外の自動ROMでは痛みは発生しなかった・他動にて右拇指を弱い力で撓側外転させると、拇指第1関節周辺の痛みが増加した。安静時、痛みは発生しない。
【施術と結果】本症例は、右拇指の撓側外転で発生する右拇指第1関節の痛みである。過去に関節リウマチと診断されているが、現在は寛解していると医師より伝えられている為、関節リウマチの可能性は除外する。近医整形外科での検査にて右拇指の損傷はないと伝えられている為、右拇指の損傷の可能性も除外する。
関節リウマチと損傷の可能性を除けば、痛みの要因は筋緊張にあると考えて施術を開始する。痛みのある右拇指右拇指MP関節周辺を触察しても痛みは発生せず、右拇指他動ROMにて撓側外転約60°で右拇指MP関節周辺に痛みが発生したが、撓側外転以外での他動ROMでの痛みは発生しなかった。
右前腕の右拇指に関連する筋を触察していくと、肘部より遠位撓側の約3cm周辺に筋緊張が触知された。肘部より遠位撓側の約3cm周辺を施術部位とし緩消法を行う。約1分、緩消法を行い筋の弛緩を触知されたため痛みの確認をする。右拇指自動ROM、撓側外転約60°で右拇指MP関節周辺の痛みが10から3(NRS改変)となった。
痛みに変化があった為、引き続き肘部より遠位撓側の約3cm周辺に緩消法を2分継続する。筋の弛緩を確認できたため、右拇指自動ROMを行うと撓側外転約60°で右拇指MP関節周辺の痛みが10から0(NRS改変)となった。
他動ROMにて撓側外転を約60°を超える程度まで動かしたが、痛みが発生しなかった。