肩部挙上から下制時に肩関節周辺に発生する激痛が消失した例
【患者】60代後半、男性
【主訴】腕を上げて降ろすときに方に激痛が走る。
【既往歴】肩関節周囲炎
【現病歴】3か月前に肩に激痛が走り、近医整形外科に受診し検査をすると右肩に石灰化があると言われ安静にしておくように指示を受ける。
鎮痛剤を飲み激痛は治まり、動きも回復してきたが、特定の角度で激痛が走るようになった。保存療法を続けたが痛みの変化がなかったために来院された。現在の状態では近医整形外科から肩の損傷はないと言われている。
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【現症】安静時の痛みはなく、肩を前方挙上や側方挙上の動きで痛みが出ることはない。右肩関節自動関節可動域(以下、ROM)前方挙上にて約180°まで上げ伸展させると約90°で肩峰下関節周辺に痛みが発生。
右肩関節自動ROM側方挙上にて約180°まで上げ内転させると約90°で三角筋粗面周辺に痛み、さらに内転させると約20°の位置で三角筋粗面周辺に痛みが発生する。
【施術と結果】本症例は、肩部の挙上から下制させると特定の位置で痛みが発生する症例である。近医整形外科にて検査を受け、筋の損傷はないと言われていることから、発痛部位の筋に緊張があると推測。発痛部位である肩峰下関節周辺を触察したが、筋緊張が激しく直接の筋弛緩を行っても痛みの改善は見込めないと判断し、関連する筋から痛みを軽減させたほうが良いと考え、関連する筋の状態の確認へ移行した。
第11肋骨先端周辺を触察すると筋緊張が触知された。肩峰下関節周辺の痛みに関連する筋である為、施術部位とし筋弛緩を開始する。約1分、第11肋骨先端周辺に緩消法を行い筋の弛緩を確認した。痛みの状態を確認すると右肩関節ROM前方挙上にて約180°まで上げ伸展約90°での肩峰下関節周辺に痛みが10から0(NRS改変)と消失した。
続いて、右肩関節自動ROM側方挙上にて約180°まで上げ内転させると約90°で三角筋粗面周辺に発生する痛みの施術に入る。痛みに関連する筋である右第10肋骨背部周辺を触察すると筋緊張が触知された。三角筋粗面周辺の痛みに関連する筋である為、施術部位とし筋弛緩を開始する。約2分、右第10肋骨背部周辺に緩消法を行い筋の弛緩を確認した。右肩関節自動ROM側方挙上にて約180°まで上げ内転させ約90°で三角筋粗面周辺に発生する痛みが10から0(NRS改変)と消失。右肩関節自動ROM側方挙上にて約180°まで上げ内転約20°で三角筋粗面周辺に発生する痛みが10から8(NRS改変)となった。
痛みに変化があったため継続して同じ部位に緩消法を約5分行い、最終確認をする。右肩関節自動ROM側方挙上にて約180°まで上げ内転約20°で三角筋粗面周辺に発生する痛みが10から5(NRS改変)となる。
腰部、腹部周辺の筋を弛緩させれば痛みが軽減することを本人が自覚したので、緩消法を習得し痛みを消していく事となった。