【患者】50代前半、女性
【主訴】首が痛い、首が動かない
【既往歴】-
【現病歴】30年程前から肩こりと腰痛の自覚症状があり、20年以上前から頚部痛と腰痛が酷くなってきたのでマッサージチェアを購入し毎日使っていた。
ある時より頚部の凝りも激しくなり首へのマッサージチェアでの刺激も繰り返していた。時期は不明だが、指先のしびれが発症し手掌から前腕まで広がっていた。両手にしびれが出ていた為、近医整形外科・内科に受診し精密検査をしたが、脳や神経、骨に異常は見当たらなかった。現在、手のしびれは治まってきているが頚部痛が激しくなると手のしびれも酷くなるようになった。
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【現症】来院時、頚部の痛みを訴えるが、痛みの場所が曖昧であった。安静時、頚部全体に凝りを訴えていた。関節可動域(以下、ROM)の確認をするが、痛みが激しく動かすのが辛いとのこと。痛みが増加しない範囲で確認すると、頚部自動ROMは屈曲約10°・伸展約10°・左側屈約10°・右側屈約10°・左回旋約30°・右回旋約30°だった。屈曲・伸展・側屈の可動制限が大きく、側屈・回旋の可動範囲に大きな左右差はなかった。
【施術と結果】本症例は、近医整形外科にて脳や骨に異常がないことから、関節の異常ではなく、筋緊張による頚部の痛みによって可動制限を受けている症例と考えた。
ROMを見る限りでは回旋の可動制限が小さいように感じたため上部頚椎周辺の筋の収縮は可能と推測。痛みを自覚している部位が曖昧なため、触察により頚部の筋の緊張状態を確認すると、第2第3頚椎後方周辺の筋緊張が強い。第2第3頚椎後方周辺の筋を施術部位とし筋の弛緩を開始する。頚椎回旋の動きが比較的大きい為、筋の収縮は頚椎の左右回旋にて緩消法を行う。約2分緩消法を行い、筋の弛緩を触知できた為、痛み、凝り、ROMの確認を行う。安静時の頚部の凝りは本人の主観で軽くなり痛みが10から5(NRS改変)となった。頚部自動ROMは屈曲約30°・伸展約10°・左側屈約10°・右側屈約10°・左回旋約50°・右回旋約50°となる。頚椎伸展・側屈に変化は目視できなかったが、本人の主観では施術前より動きやすくなったとの事だった。
引き続き第2第3頚椎後方周辺の筋の弛緩を行うが、頚椎側屈時の負担が減っていると判断し、筋の収縮は頚椎側屈にて緩消法を行う。頚椎左側屈・右側屈にて緩消法を行い、左右とも約2分の緩消法を行う。筋の弛緩を触知されたので、痛みとROMの状態を確認する。頚部自動ROMは屈曲約50°・伸展約10°・左側屈約20°・右側屈約20°・左回旋約50°・右回旋約50°となる。安静時の頚部の凝りの自覚も消失した。
日常生活に支障がない状態まで動きも改善し、痛みもなくなった、と喜んでいた。