【患者】50代前半、女性
【主訴】首の後ろが触ると痛い
【既往歴】2~3年前から心療内科に通院歴あり、現在も精神安定剤等を内服中。
【現病歴】約1年前から自然と頚部が前屈位になり始めた。外傷等の契機は特になし。本人曰く、精神安定剤等の薬を飲んでいるのでその副作用で悪くなったのかも、とのことだが不詳。当時、近医整形外科を受診時は、レントゲン検査にて変形性頚椎症の診断で、鎮痛剤と湿布の処方あり。また、前屈位にならないようにネックカラー固定を勧められ、現在もほぼ毎日装着している。リハビリに通っているが、まだ同じ痛みが残存しているとのこと。
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【現症】頚部を固定しているネックカラーを外すと、視診上、椅子座位安静時にて、頚部前屈位約30°の状態。普段、後頚部は左右とも触ると痛い(以下、圧痛)部分があり、右のほうが強いとのこと。常時、頚部前屈位のため、頚部後屈のしにくさもあり後屈時に痛みもあるが、圧痛が一番気になるとのこと。
【検査所見】Jacksonテスト・Spurlingテスト陰性。両上肢に神経学的異常なし。
【治療と結果】触診上、後頚部は左右とも全体的に筋緊張が高く、それが痛みの要因の一つと考えた。圧痛が一番気になるとのことで、一番圧痛が強い部分をご本人に指で指し示してもらい、その部分(後頚部右側)から緩消法を実施。
2~3分後、同部の筋弛緩を確認。本人に圧痛を確認してもらうと10から9(NRS改変)と小さくなっていた。数分で痛みが1割だが減ったのを体感して頂けたため、続けて同部に実施。2~3分毎に一番の圧痛部位を指し示してもらい、その部位に順次緩消法を行っていった。約15分後、本人に圧痛を確認してもらうと、いつも気になる部分の圧痛は10から0(NRS改変)と消失していた。
いつもは触ると痛むけど今は痛くない、と喜んで頂けた。また、頚部後屈動作も、主観で、いつもよりは動かしやすいとのことだった。