【患者】50代前半、女性
【主訴】腕全体が浮腫み指の関節が腫れている、手を握る動きが悪く動かすと痛い
【既往歴】-
【現病歴】10年以上前から両手指関節の腫れと腕全体の浮腫みを自覚し始めた。近医整形外科にて診察をしたが、特に異常は見当たらず、投薬治療を開始した。日が経つにつれ動きにくさも感じ始めた。正確な時期は不明だが、数年前より指の硬直が表れ、痛みも自覚するようになった。
続きを読む
【現症】主訴である手の浮腫は両手にあり目視による大きな浮腫の左右差は見られない。母指を除く四指の遠位・近位指節間関節は肥大しているかのように見えた。本人の自覚的には動きの悪さ、動かした時の痛みは右手のほうが強いとのこと。
【施術と結果】本症例は、両手に浮腫があり、本人も両手に浮腫と動きの悪さの自覚症状がある例である。両側性であることから内臓疾患を疑ったが、近医整形外科より内臓への異常がないと言われている。そのため浮腫の要因は血行不良によるものと考え、動きの悪さも同時に発生していることから、筋の問題で症状が発生していると推測した。拇指を除く四指の遠位・近位指節間関節を触察すると、肥大しているように見える個所は緊張が強く触察により多少の痛みも感じる。
内臓異常、自己免疫疾患ではないが、手指の関節に腫れと痛みがある場合、手指の屈曲・伸展に関連する筋が同時に緊張している可能性が高い。右前腕を触察すると、右前腕浅指屈筋の橈骨付着部周辺、指伸筋の肘頭より遠位に約15cmの周辺に筋緊張が感じられる。右前腕浅指屈筋の橈骨付着部周辺、指伸筋の肘頭より遠位に約15cm周辺を施術箇所とし緩消法を実践する。緩消法を約1分行い、筋の弛緩を感じたため動きの確認をする。本人の自覚では手指の動きがスムーズになり、手指を動かした時の痛みが10から4(NRS改変)となる。続けて同一部位へ緩消法を継続、筋の弛緩が進むごとに右前腕から右手指までの浮腫が小さくなっていくのが目視により確認できるようになった。
手指の動きの悪さと痛みが手指の屈筋・伸筋が同時に緊張していることで発生している一例だった。