【患者】60代後半 男性
【主訴】朝、急に腰が痛くなり、起き上がれない。明日は仕事に行かなければならない。
【既往歴】ー
【現病歴】前傾姿勢での作業が多く、常に腰痛を自覚している。前日、ソファに座った状態から立ち上がる時に腰部に強い痛みを感じた。翌朝、起き上がれない程腰部下部に痛みを感じ、仕事はできないと判断、休暇をとり、安静にしていた。時間の経過と共に、起き上がれるようになったが、ソファに座ると立ち上がるのが困難なため、家の中で立位を保っていた。
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【現症】安静時鈍痛あり。触察により熱感はないと思われる。胸腰部関節可動域(以下、ROM)自動で屈曲約20°と可動域制限あり。椅子から立ち上がる動作で腰部中央下部から仙骨周辺に強い引張感と痛みを感じる。
【施術と結果】本症例は腰部中央下部から仙骨周辺の引張感と痛みを訴えており、腰部の筋緊張が要因と考えた。
腰部側面を触察したところ筋緊張を確認し、腰部側面の押圧深を測定したところ約1㎝であった。腰部側面に約2分間緩消法を行い筋弛緩を確認し、その結果、椅子から立ち上がる動作での腰部中央下部から仙骨周辺の痛みは10から7(NRS改変)と小さくなった。座位での胸腰部ROM屈曲約30°まで可能となり、痛みに変化が出たため、腰部側面への施術を継続し、約10分筋弛緩を行った。その結果、椅子から立ち上がる動作での腰部中央下部から仙骨周辺の痛みは10から3(NRS改変)と更に小さくなったが、胸腰部屈曲の際、仙骨周辺の引張感があるとのことで、腰部下部の腸骨稜周辺を触察したところ、腸骨稜上部にしこりのような筋緊張を確認したため、緩消法を約5分間行い、腸骨稜上部のしこりのような筋緊張が消失したことを確認した。
その結果、椅子から立ち上がる動作での腰部中央下部から仙骨周辺の痛みは10から1となり、座位での胸腰部ROM屈曲は約45°と可動域制限は無くなり、胸腰部屈曲時の腰部中央下部から仙骨周辺の引張感も消失し、腰部側面の押圧深は約3.5㎝になった。明日は仕事に行けそうだと、安堵された。