2年前から続く、胸腰部前屈時の両臀部痛・大腿部痛の改善例
【患者】50代後半、男性
【主訴】前かがみの時にお尻と太ももの裏が痛い
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】約2年前から、特に誘因なく洗顔時などの体幹前傾時（以下、胸腰部前屈時）に両臀部から大腿部屈側にかけて痛みを感じるようになった。当時、近医整形外科を受診し、レントゲン検査にて特に異常は指摘されなかった。書籍やインターネットで症状改善のための動画を見て、自分で色々試してみたが痛みの変化が無かった。
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【現症】体幹は、立位で腰胸部前屈可動域（以下、ROM）約60°で両臀部遠位から大腿屈側にかけて痛みあり。また、同動作で両側の上後腸骨棘（以下、PSIS）付近の痛みと、背部の突っ張り感がある。痛み・突っ張り感の左右差なし。
【検査所見】両下肢の深部腱反射異常なし
【治療と結果】触診では、腰部は全体的に筋緊張が高く、特にPSIS付近を含めて腸骨稜の筋腱付着部に高かった。両股関節・膝関節の自動運動は支障が無いとのことで、本症例の痛みは腰部の筋緊張と関連があると考えた。
まず、痛みを感じる両側PSIS付近の筋群に緩消法実施。約2分後、筋弛緩を軽度確認。立位腰胸部前屈ROM約60°での痛みは消失し、痛みの出るROMは約60°から75°になった。
更に同部に続けて約3分実施するも、同前屈ROM・痛み共に変化が無かったため、PSIS付近の筋緊張は腰部側面と関連があると考え、腰部両側面に実施していった。
約10分後、筋弛緩を確認。同前屈で痛みの出るROMは約90°になり、その時の両臀部・大腿屈側の痛みは10から5（NRS改変）に小さくなった。背部突っ張り感も主観で50％減となった。しかし、まだ症状が50％残存しているため、今後、緩消法でのセルフケアを促した。
