【患者】30代後半、男性
【主訴】前屈みになると腰が痛い
【既往歴】急性腰痛
【現病歴】来院当日の朝、起床時に腰部から仙骨周辺にかけて鋭い痛みが走った。そのまま、しばらく動くことができず蹲ったままでいた。痛みがある小さくなってきた頃に起き上がったが、腰部・臀部周辺に痛みがあり壁伝いに歩ける程度だった。
昼過ぎから痛みが更に小さくなり、ゆっくりとした歩行は可能になったが体幹部を傾けると激痛が走る状態。約10年前から年に2~3回は急性腰痛を繰り返していた。学生時代は全国クラスのスポーツ選手で筋肉量が多く、筋力も強く、痛みにも慣れており、痛くならないような動きを無意識にできるとのことだった。
現在、スポーツは趣味程度で、筋肉トレーニングは筋力の維持レベルの中程度の負荷でおこなっている。
続きを読む
【現症】来院時、歩行は普通にできていたが、椅子に座る際は動作が遅く痛みが発生しないように動いていた。立位や椅座位で姿勢を固定すれば痛みは発生しないが、椅子からの起立動作や体幹を動かすと腰椎下部・仙骨周辺に痛みが発生する。
胸腰部の前屈・後屈は激痛が出るので動きたくないとのこと。胸腰部の左右の側屈や左右の回旋では痛みは発生せず、わずかな動きにくさがある。
【施術と結果】本症例は、来院当日の朝、起床時に発生した腰痛から始まった胸腰部前屈時の痛みである。
胸腰部の前屈・後屈に痛みが発生し、左右の側屈・回旋では痛みが発生しないこと、痛みは仙骨周辺が最も強いことから胸椎下部周辺に筋緊張があると考えた胸椎11・12番高位周辺を触察すると筋緊張があり、肋骨12番胸椎接合部周辺に特に強い筋緊張が触知された。肋骨12番胸椎接合部周辺を施術部位とし、緩消法を実践する。
約5分、椅座位にて緩消法を行い、筋弛緩を触知されたので体の状態の確認を行う。椅座位にて胸腰部の前屈を行うと引張感はあるが、痛みは10から5(NRS改変)へと半減した。椅座位から立位への移行も来院時よりもスムーズになり、楽に動くことができるとのことだった。
腰痛の再発予防には腰の筋肉の弛緩が必要であることを説明し、残り時間は腰部の筋弛緩を行った。