【患者】 70代前半 女性
【主訴】 1年ほど前に転んで橈骨を骨折して、手術したあとから、腕をひねれなくなりました。痛みもあるし困っています。
【既往歴】 脳梗塞
【現病歴】 約1年前、脳梗塞による歩行不安定さから転倒し左橈骨骨頭を骨折。手術後から痛みを伴う回内可動域制限が残存している。
続きを読む緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】 70代前半 女性
【主訴】 1年ほど前に転んで橈骨を骨折して、手術したあとから、腕をひねれなくなりました。痛みもあるし困っています。
【既往歴】 脳梗塞
【現病歴】 約1年前、脳梗塞による歩行不安定さから転倒し左橈骨骨頭を骨折。手術後から痛みを伴う回内可動域制限が残存している。
続きを読む【現症】 左前腕回内可動域(以下 ROM)は、自動で約10度に制限されており、同角度で疼痛の訴えを認める。
【施術と結果】 本症例は、骨折手術後から症状が発症しているとの訴えから、手術に伴う筋腱群の緊張および癒着を疑った。触察にて手術瘢痕部(手術の傷跡)の皮下に癒着様の緊張を確認し、ここを施術開始箇所とした。
当該部位への緩消法による施術を開始し、約30秒時点で触察にて筋肉の弛緩を確認するとともに、可動域と痛みの変化を確認した。この時点でROMは約10度から約45度へと改善が見られ、痛みは主観で10から5へと小さくなったとの報告を受けた。変化が顕著に認められたため、同部位への施術を継続することとした。
施術を継続し、約2分時点でさらに触察にて弛緩を確認した。ROMは約80度へとさらに改善が見られ、痛みは主観で10から2へと小さくなったとの報告を受けた。
本介入は別症状の施術中に受けた相談であったため、限られた時間の中での対応となりこの時点で施術を終了した。その際、患者より「これなら日常生活で問題なさそう。こんな短い時間で変わってうれしい」との報告を受けた。
【考察】 本症例において、約1年間持続していた術後の回内制限および肘関節痛が、手術瘢痕部への短時間の施術で速やかに改善した事実は、可動域制限の主因が骨格の変形や関節自体の拘縮ではなく、手術創周辺の皮下組織および筋腱群の引き攣れや癒着であった可能性を示唆している。瘢痕組織周辺の過緊張を緩消法によって速やかに弛緩させたことが、橈尺関節の滑動性を回復させ、大幅なROMの改善とそれに伴う疼痛の軽減に寄与したものと推察される。
【その他】 短時間の介入で日常生活に支障のないレベルまでの可動域回復を認めたが、脳梗塞の既往による歩行不安定さや、長期間の不活動による周辺筋群の残存する緊張が再発を招く懸念は残る。今後は再発防止のため、腰背部を含めた広範囲な筋弛緩を行い、全身のバランスを整えつつ、前腕周辺の柔軟性を維持していくことが望ましいと考えられる。