【患者】 50代後半 女性
【主訴】 15年程前に手術した右膝をずっとかばってきたため、左膝が痛くなり、杖を使用しなければ歩行できない状態にある。
【既往歴】 右膝変形性膝関節症(手術歴あり)
【現病歴】 右膝の手術後、約1年以内には左膝関節にも痛みが出現していた。約1ヶ月前から左膝痛が増悪し、杖の使用が必須となった。
続きを読む緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】 50代後半 女性
【主訴】 15年程前に手術した右膝をずっとかばってきたため、左膝が痛くなり、杖を使用しなければ歩行できない状態にある。
【既往歴】 右膝変形性膝関節症(手術歴あり)
【現病歴】 右膝の手術後、約1年以内には左膝関節にも痛みが出現していた。約1ヶ月前から左膝痛が増悪し、杖の使用が必須となった。
続きを読む【現症】 椅坐位からの起立動作時、殿部離床期から膝の痛みで杖の使用が必要であるとの訴えを認める。痛みを訴える箇所は、主に膝蓋骨下部であった。
【施術と結果】 本症例は、手術歴のある右膝をかばう動作を契機に発症していることから、左膝周辺の筋腱群への負担増によるものと推察した。また、増加した負担による疲労回復の遅延が、腰部の筋緊張から起きているものと考え、施術開始部位を腰部周辺から行うものとした。
施術開始箇所は、膝関節痛との関連が強いと考えられる上前腸骨棘周辺に設定。触察にて当該部位に特に強い緊張が認められた箇所より施術を開始し、約3分の施術で弛緩を触知した。
ここで起立動作時の痛みは主観で10から1へと小さくなったとの報告を受けた。また、杖の使用を必要とせずに起立、および歩行が可能になった。この際、患者より「なんでこんなことで痛みが無くなるの?」と驚きの報告を受けた。施術体験の短い時間の中での介入であったため、この時点で施術を終了したが、今後の再発予防を希望された。
【考察】 本症例において、長年の右膝庇いによる左膝関節痛および起立時の機能障害が、上前腸骨棘周辺への短時間の施術で大幅に軽減した事実は、疼痛の主因が膝関節自体の構造的な変形のみではなく、大腿前面の筋肉の起点となる骨盤周囲の筋緊張によるものであった可能性を示唆している。腰部周辺の緊張を弛緩させたことで、膝蓋骨下部にかかる牽引ストレスが緩和され、起立時の力学的不均衡が減少したものと推察される。
【その他】 短時間の介入で著明な動作改善を認めたが、長年の歩行特性や腰部の筋緊張が依然として残存していることから、局所への負荷が再発する懸念は残る。今後は、根本要因と考えられる腰部および骨盤帯を含めた広範囲な筋弛緩を継続していくことで、左膝への負荷軽減および再発防止に寄与する可能性があると考えられる。