O脚矯正手術後に杖歩行になってしまった70代女性の歩行が改善した症例
【患者】70代後半、女性
【主訴】両手に杖がないと歩けなくなってしまった。杖をついてもヨチヨチ歩きしか出来ない。
【既往歴】左膝O脚矯正手術(約9ヶ月前)、右膝O脚矯正手術(約1年3ヶ月前)、
【現病歴】長年悩んでいたO脚矯正の手術をして約半年後から、徐々に歩行が困難になり両手に杖が必要になった。杖なしでは室内でも歩くことは出来ない。
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【現症】立位で胸腰部伸展可動域(以下、ROM)約-15°で常に前傾姿勢である。右下腿に浮腫あり。杖歩行時の歩幅約10㎝。
【治療と結果】本症例はO脚矯正術後から約半年後に発症した歩行困難を訴えているが、立位時の前傾姿勢と右下腿の浮腫が要因であると考えた。
触診にて腰部は全体的に筋緊張があり特に第四腰椎(以下、L4)高位が強い。腰部全体の筋緊張は腰部側面の筋緊張が要因と考えたため腰部側面へ緩消法にて約2分弛緩した結果、腰部側面の押圧深は左右とも体表から約3㎝から約4㎝になったが、しかし腰部全体の筋緊張は変化せず弛緩が不十分だと判断したため、さらに約30分施術し腰部側面の押圧深は左右とも体表から約5㎝まで弛緩し腰部全体の筋緊張も弛緩した。立位での胸腰部伸展ROMは約-5°となり歩行時の歩幅は約10㎝から約20㎝と大きくなり、杖なしでも歩行が可能になった。
次に触察により右膝窩周辺の筋緊張を確認したため膝窩動静脈およびリンパ節の圧迫が起こっていると考え膝窩周辺の筋緊張に対し約5分施術した結果、右下腿の浮腫は主観で5割減となり歩行時の速度も向上した。来院時の状態との比較では、ご本人の主観では主訴は9割減との報告を受けた。
「歩行改善のためには再手術を勧められていたが、1回目で効果を実感できたので希望が持てました」と大変喜んでいただいた。