【患者】30代後半、女性
【主訴】2人目の産後から肩こりや吐き気を伴う頭痛が出るようになった
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】初産前からもともと少し肩こり(以下、後頚部凝り感)はあった。1人目出産後は大丈夫だったが、2人目出産後に後頚部凝り感が強くなり、嘔気・頭痛を伴う時もある。
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【現症】後頚部は左右とも全体的に筋緊張が高い。来院時は嘔気・頭痛なし。後頚部凝り感の左右差なし。頚部・両肩関節可動域(以下、ROM)は日常生活に支障なし。頚部前屈・後屈で後頚部の左右に痛みあり。前屈時と後屈時の痛みの強さは同じ。
【検査所見】両上肢に神経学的異常なし
【治療と結果】本症例の症状は、主に頚部動作時に痛みを感じるため、心疾患等からの関連痛ではなく、筋緊張亢進によるものと考えた。頚部前屈・後屈動作時に一番痛みが気になる部分を指で示してもらうと後頚部左側の肩甲骨上角付近であった。
まず、その部分に緩消法を実施。約2分後、筋弛緩を確認。頚部前屈・後屈動作時痛は10から8(NRS改変)と小さくなった。次に、後頚部右側の痛みが気になるとのことで、その部位に実施。約2分後、筋弛緩を確認。頚部前屈・後屈動作時痛は10から7~8(NRS改変)と小さくなった。その後も同じ手順で頚部動作時に痛みが気になる左右の部分を聴取しながら施術を進めた。
約10分後、当初よりも後頚部全体の筋弛緩を確認。頚部前屈・後屈動作時痛は10から5(NRS改変)と小さくなった。この時点で、後頚部凝り感よりも背部の張り感が気になるとの申し出あり。
後頚部凝り感や背部の張り感は第12肋骨下縁付近の筋緊張亢進と関連があると考え、その部位周囲に緩消法を実施。約5分後、同部の筋弛緩を確認。背部の張り感は主観で7割減となった。
また、頚部前屈・後屈動作時痛は10から3(NRS改変)と更に小さくなった。後頚部凝り感も主観で7~8割減とのことで満足されたため施術を終了した。