【患者】70代前半、男性
【主訴】首が突っ張って動きづらく、痛みもある。
【既往歴】頚椎椎間板ヘルニア術後、腰椎椎間板ヘルニア術後、高血圧症
【現病歴】約20年前に日常生活に支障がある腰痛が発症し、頚椎椎間板ヘルニアと腰椎椎間板ヘルニアの手術をした。手術後に腰痛は消失したが、両足のしびれと下半身の浮遊感、頚椎の可動制限と首痛が発症。接骨院にて電気療法、温熱療法、カイロプラクティックの施術などを受けるが、頚椎の可動制限・両足のしびれ・下半身の浮遊感に変化はなかった。
日常生活に不便があるまま生活していたが、約10年前から頚椎の可動制限が強くなり、頚部全体の引張感と痛みが激しくなってきた。高血圧症に関しては投薬治療を継続している。
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【現症】来院時、目視にて歩行を確認したが、主観ではあるが足の運びに遅さを感じた。両足には常にしびれを自覚しており、歩行時には多少強くなるとのことだった。
主訴である頚部自動関節可動域(以下、ROM)は、左回旋約5°・右回旋約5°と左右差はなかったが可動域は狭い。安静時でも引張感と痛みがあるが、頚椎の左右回旋をすると更に強くなる。
頚部自動ROMでの伸展は、過去に激痛が発生したとのことで本人に恐怖心があるため省略したが、可動域は小さいであろうと予測した。
【施術と結果】本症例は、約10年前から続く頚椎の可動制限と痛みである。両足のしびれや浮遊感には不快感があるが、頚部周辺の症状が主訴であるため、頚部の可動域と痛みの改善にポイントを絞る。
頚椎周辺を触察すると全体的に筋緊張が強く、頚椎1~4番高位の後方・中心部分に傷跡のようなものがあり、癒着のような筋緊張も感じられた。
他動にて頚椎の可動を確認したが、動きに鈍さがあり無意識に頚部が強く力んでしまう。頚部の緊張度合いと他動時の頚部への力みがあることから、頚部への緩消法をしても効果が薄いと判断し関連する腰部への筋の確認へ移行する。
上部腰椎・下部肋骨周辺の筋を触察すると、肋骨11・12番後方周辺に強い筋緊張を感じる。肋骨11・12番後方周辺を施術個所とし緩消法を実践する。
約3分、緩消法を実践し筋緊張を確認した後、本人より頚部の引張感が薄れてきたとのことだった。
頚部自動ROM左回旋約5°・右回旋約5°とROMの変化はなかったが、回旋時の痛みは10から0(NRS改変)へと消失した。