【患者】50代前半、男性
【主訴】走っている時にふくらはぎが痛くなった。肉離れの感じがする。
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】数日前から趣味で知人とランニングを始めた。今朝、約20分走った後に左腓腹部が痛くなった。知人から、肉離れかもしれないと言われ、心配になり来院。
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【現症】歩行時、腓腹部の1/2中央部付近に痛みを感じており、歩行立脚期全般で痛みを感じる。荷重歩行は可能だが、明らかな疼痛性跛行が見られた。
【検査所見】アキレス腱のThompson test陰性。単純X線検査にて脛骨・腓骨に明らかな疲労骨折なし。超音波検査にて、アキレス腱皮下断裂や腓腹部の筋肉内血腫なし。
【治療と結果】腓腹部には、視診上、皮下出血斑なく、通称「こむらがえり」と言われる「有痛性筋痙攣」状態もなし。また、触診にて疼痛部にDelle(陥凹)なく、上記検査所見も踏まえ、本症例は、腓腹部の「肉離れ」ではなく「疲労性筋肉痛」と診断した。
治療は、まず、歩行時に一番痛みを感じる部分に緩消法を実施。約1分後、歩行時痛は10から8(NRS改変)と小さくなった。効果があったため、続けて同部位に実施。約1分後、歩行時痛は10から6(NRS改変)と更に小さくなった。痛みが一番残存している部分を指摘してもらうと、先程の1横指近位に変わったため、その部分に実施。約1分後、その部分の歩行時の痛みは10から8(NRS改変)と小さくなった。効果があったため、続けて同部位に実施。約1分後、歩行時痛は10から5(NRS改変)と更に小さくなった。
この時点で、歩行時の疼痛性跛行がほぼ消失し、仕事に行けそうと喜んで頂けた。歩行時痛は残存していたが、急いでおられたためここで終了した。
【今後の方針】今回は、外来診察時に行ったため、約5分しか実施できておらず、痛みが残存していた。脛骨・腓骨の初期の疲労骨折が完全に否定できたわけではないため、明日以降、痛みが再燃する場合には、MRI検査をする必要がある旨を説明し、本日の治療を終了した。