【患者】50代前半、女性
【主訴】背中が圧迫されるような感覚、じんじんした痛みがある、仰向けに寝ると痛い
【既往歴】むち打ち症、打撲
【現病歴】幼少の頃から肩こりがあり、成人する頃には肩から背部までこりが広がってきていた。10年以上前に階段から落下し症状が悪化、頚部から肩、背部、腰部まで痛みが発生した。近医整形外科・内科医に受診・通院をするが特に異常はなしと言われている。安静時にも背部にはジンジンする痛みがあり、仰向けでは背部に激痛が走ることがある。
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【現症】来院時、安静な状態でも背部の広い範囲で痛みを感じていた。特に第12胸椎・第1腰椎周辺に痛みが強い部分がある。胸腰部の自動関節可動域(以下、ROM)左回旋約10°の位置で、第12胸椎左側周辺に痛みが発生し、詰まる感覚もある。
【施術と結果】本症例は、幼少期から続いている背部の痛みであり、階段からの落下により悪化した症状と推測した。激しく痛みが発生する第12胸椎左側周辺を触察すると強い筋緊張がある。胸腰部の自動ROM左回旋約10°の位置で、胸椎12番左側周辺に痛みが出ることから、過去に筋を損傷し古傷のようなものがあるのではないかと推測。第12胸椎左側周辺を触察すると硬結のような筋が感じられ、本人も胸椎12番左側周辺は激痛が走る位置と一致するとのこと。
施術箇所を第12胸椎左側周辺とし、筋の弛緩を行う。約3分、緩消法を行い、筋の弛緩を確認できたので痛みの確認を行う。安静時の第12胸椎左側周辺の痛みは10から7(NRS改変)まで減少。胸腰部の自動ROM左回旋約10°の位置で、第12胸椎左側周辺の痛みは10から0(NRS改変)になった。胸腰部の自動ROM左回旋約20°の位置で、胸椎12番左側周辺に痛みが発生するが、動きがスムーズになり、詰まる感覚は減少したとのこと。第12胸椎左側周辺の痛みが減少したので、引き続き第12胸椎左側周辺の筋弛緩を継続した。