【患者】70代後半、男性
【主訴】首を横に倒すと痛い。両手がこわばる
【既往歴】肋膜炎、虫垂炎、前立腺肥大、左腎臓摘出、アキレス腱断裂手術、白内障手術
【現病歴】2か月前より首の両側に違和感が発生。特に何もせず放置していたら日に日に違和感が大きくなり、動きの鈍さも現れた。
左右に側屈させると痛みがあり、可動範囲も小さくなり、さらに痛みも大きくなってきた。
同時期に両手のこわばりも大きくなり、不安になってきた。
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【現症】現在、糖尿病・高脂血症の治療を継続中のため、主治医の近医内科へ受診。精密検査にて脳神経、血液データからは血糖値・総コレステロール以外の目立った異常は検出されず。日時が経過しても回復の兆しが見られず来院。
来院時、歩行の困難を感じ、会話の中では意識の朦朧さのようなものを感じた。呂律が若干まわってないが、服薬による副作用で起こるものと医師から伝えられている。
主訴は頚部の可動だが、両手のこわばりがあるので病的な問題があることを懸念したが、主治医より定期的な糖尿病・高脂血症治療を受け、精密検査もしているので病的な異常はないと考えた。
頚部関節可動域(ROM)は左側屈が約10°で頚部右側に痛みが発生、右側屈が約10°で頚部左側に痛みが発生。本人の主観では痛みの度合いは頚部左側の方が強い。
【施術と結果】本症例は、頚部の可動制限、可動時の痛みである。頚部側屈時に、側屈方向と対側に痛みが発生していることから筋緊張による可動制限と痛みと判断した。本人の主観である頚部左側の痛みが強いことから頚部左側への施術から始める。頚部左側の筋緊張を取り除く。頚部側屈ROM約10°で痛みが発生することから、10°より小さい可動にて筋弛緩を行う。約30秒で筋弛緩を触知した為、ROMと痛みの確認を行う。頚部ROM右側屈約30°となり、頚部ROM右側屈時の頚部左側の痛みは10から4(NRS改変)と小さくなった。施術中に頚部右側屈時に頚部右側に詰まっている感じがあると本人が伝えてきた。頚部右側屈のROMが大きくなったことで知覚できるようになったと仮定し、施術部位を頚部右側に移す。
本人の主観で位置を示してもらうと、この時の詰まり感は第5頚椎右側周辺にある。触察すると硬結のような物が確認できる。第5頚椎右側周辺に古傷のようなものがあると推測した。筋弛緩部位を第5頚椎右側周辺に定める。約1分、施術を行う筋弛緩を触知。再度、ROMの確認を行う。頚部ROM右側屈が約30°で変化はなし。頚部ROM右側屈時の痛みは10から0(NRS改変)となり、施術中に確認された詰まり感も消失した。頚部ROM左側屈が約30°となり、頚部側屈のROMに左右差がなくなった。
施術終了時に本人から首の動きが楽になり、目の前も明るくなった、と報告を受けた。