交通事故後遺症による背部の引張感と呼吸の改善効果

【現症】来院時、背筋を伸ばす姿勢ができず、体幹部は左に傾き、顔はうつむいた状態だった。夕方での来院のため、一日の中で一番体調が悪い時間帯とのことで話すのも辛い、とのこと。安静時では背部に重さと強い引張感がある。目視にて確認しても苦しさがあり、呼吸が浅いように感じた。
本人の辛さが大きく可動の確認は控えた。目視・触察にて胸椎9番から前傾になっており、顔面は約40°前傾した状態から体を起こすことが困難であった。
【施術と結果】本症例は、安静時にて引張感があり上半身の自動が困難であった。
　呼吸に関わる筋がある頚部から背部・腰部を順に触察し筋の状態を確認すると、複数個所に硬結のようなものがあり、特に頚部右側、肩甲骨内縁左側、腰部中心部に筋の硬さが目立つ。本人が特に重苦しく呼吸と訴えており、触察により硬結のようなものを確認した肩甲骨内縁左側周辺の筋弛緩為の施術から入る。触察により左の肩甲骨内縁周辺に硬結のようなものが確認できるので施術するポイントとした。
　約2分筋弛緩を行い、筋の弛緩と肩甲骨の可動の滑らかさを確認できたので症状の変化を訪ねる。呼吸が深くなってきて、背筋も伸ばせるようになった、とのこと。目視にても顔を起こせる角度が大きくなったように感じたため、引き続き同一ヶ所の筋弛緩を続行する。約3分筋弛緩を行う頃には、本人から安静時の引張感がなくなり、深呼吸ができるようになった、と報告を受けた。顔も正面・垂直まで起こすことができるようになり、喜んでいるようだった。
　症状は他にもあるため、引き続き筋弛緩を続け施術を終了とした。