カテゴリー: 中塚由美の症例報告

【現症】右肩関節周辺に安静時痛は無く、腰部は安静時痛有り。右肩ROMは自動で屈曲約120°・外転約90°で右肩関節周囲に痛みが発生し、胸腰部ROMは自動で屈曲約20°・伸展約10°の動作で痛みが増大する。腰部の痛みにより歩行時はコルセットを装着していないと不安とのこと。
【施術と結果】本症例は、右肩と胸腰部のROM制限や疼痛部位から、右肩関節痛の要因は右肩関節周辺の筋群と腰部広背筋付近の筋緊張と考えた。
　右肩関節外転動作で一番痛みを強く訴える部位は広背筋の停止部（上腕骨小結節）付近であり、触察により強い筋緊張を確認した為、緩消法を約50秒施術した結果、右肩関節周辺の引張感は主観により消失し、右肩ROMは自動で外転約120°と大きくなった。
　次に触察にて腰部側面と腰部広背筋付近の筋緊張を確認した為、筋緊張部位へ緩消法を約20分施術し筋弛緩を確認した結果、腰部側面の押圧深約1.5cmが確認でき、腰部の安静時痛が10から4（NRS改変）と小さくなり、胸腰部ROMは自動で屈曲約40°・伸展約20°までは痛みが増大することは無くなり、コルセット無しの歩行が可能になった。
　また、腰部の筋弛緩により右肩関節周辺の筋緊張が弛緩した為、施術終了時では右肩ROMが自動で屈曲約160°と大きくなった。腰部の筋緊張の弛緩によって肩関節のROM制限を改善させることができる一例となった。

【現症】下半身の倦怠感有り。左半身が特に症状が強く、右半身も少し違和感有り。左下腿部は痺れが有り、左下腿部の筋が思うように動かない。特に左足関節付近の筋に引張感が有り動きにくい。主観では、右半身に違和感は有るものの、右半身と比べ左半身の動かしやすさ3割程度で、左半身に症状を強く訴えている。左足関節を他動で動かしても痛みはさほど出ないが、自動で動かすと引張感が有り動かしにくい。
【施術と結果】本症例は、約6カ月前から続く左半身の痺れや引張感を強く訴えているが、症状は両下肢全体に出ている為、腰部の筋緊張が要因と考え触察したところ腰部全体に筋緊張が有り、腰部側面の押圧深は約0.5cmを確認。腰部全体を弛緩する為腰部側面に緩消法を約20分施術した結果、腰部側面の押圧深は約1.5cmと大きくなった。
　この時点で腰部全体の倦怠感が主観で来院時より半減し、左下半身の症状は全体的に約2割減少したと報告を受けた。次に第3腰椎高位で左外側へ約3cmの周辺に3～4cm程の筋硬結の様な物を確認した為、その付近に緩消法を約10分施術し筋硬結の様な物の大きさが約1/3となったことを確認した結果、左半身の引張感や痺れなどの症状が主観で来院時より半減し、特に左下半身背側の症状が軽減したと報告を受けた。
　本症例は、一度の施術で主訴の全てを改善できてはいないが、腰部の筋緊張を緩消法にて約30分弛緩させた結果症状が半減しており、腰部全体の筋緊張を緩消法にて弛緩させることで更に症状が改善すると考えられる。