【患者】50前半 男性
【主訴】首が痛くて仕事が出来ない
【既往歴】-
【現病歴】約30年前にバイクを運転中に交差点で乗用車と衝突事故を起こしてしまい、左前腕部を2ヶ所、左下腿部を2ヶ所、左肋骨を複数ヶ所骨折し約4ヶ月間入院していた。事故直後から約3ヶ月までは骨折の痛みが強く、頚部には痛みは感じなかったが、骨折の痛みが楽になってくると徐々に頚部痛が出現してきたが、我慢できる痛みだったため病院に頚部痛は訴えていなかった。退院後は1週間に2回、負傷部位のリハビリのため通院していた。その後から慢性的な頚部痛と頚部可動域制限があり、来院2週間前から誘因なく痛みが増強したため、当院に来院された。
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【現症】頚部関節可動域(以下ROM)自動運動にて後屈約20°、前屈約30°で共に第7頸椎高位頚部正中から約3cm外側周辺に詰まるような痛みがあると訴えており頚部から背部にかけての倦怠感は常時あるとの事。その他の動きでは可動域制限はなく、筋力、知覚、痺れの異常も確認出来なかった。
【施術と結果】本症例は後頚部左側に痛みを訴えており、痛みの要因をバイク事故の衝撃で起こった筋緊張が強くなり出現した痛みだと考え、触察にて第7頚椎高位頚部正中から約3cm外側周辺に強い筋緊張を確認し、同部位周辺の筋に約1分行い筋弛緩を確認した。その結果、頚部ROM後屈約25°、前屈約30°と大きくなったが、後屈、前屈時の痛みは変わらなかった。
痛みの変化がないため痛みの要因が深部の筋にあると考え、腰部の筋弛緩をする事で頚部の筋弛緩が行いやすくなると考え、触察にて腰部側面から腰部脊柱起立筋と思われる筋にかけての筋緊張を確認し、緩消法を約15分行い筋弛緩を確認し、再び第7頚椎高位頚部正中から約3cm外側周辺の筋に約10分緩消法を行い筋弛緩を確認した。その結果、頚部後屈約15°、左回旋20°での痛みが10から3(NRS改変)に小さくなり、頚部ROM後屈約40°、前屈約50°と大きくなった。頚部ROM後屈約40°、前屈約50°まで動くと同部位に痛みが出現するが来院時の痛みより10から4(NRS改変)に小さくなったと報告を受けた。頚部から背部にかけての倦怠感は主観で60%減と報告を受けた。
一回でこんなに楽になるとは思わなかった、もっと早くに来ればよかったと喜びの報告を頂いた。