【患者】 70代前半、女性
【既往歴】 左橈骨近位端骨折(詳細不明)
関節遊離体手術(詳細不明)
【主訴】 10代の時に骨折してから左手がしびれている。
【現病歴】 10代の時に体育の授業で跳び箱をしていた時に左橈骨近位端を複雑骨折。手術ができなかったので骨折自体は保存療法となったが、関節内遊離体による激痛で2回手術をした。左肘部橈側に術創あり。手術をしても痛みが出るため、神経の位置をずらす手術をしたとのこと。この時には左肘部尺側を手術した。痛みはなくなったがその頃から左手のしびれがあることに気付いた。しびれに対する加療はしていない。
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【現症】 左手全体にしびれがある。しびれが収まる時もあるが、必ず収まる動作や体勢などはない。
【施術と結果】 本症例は、左橈骨骨折後に発生したしびれを訴えているが、受傷より50年以上が経過していることから、手関節周辺と受傷部位付近である左肘部の筋緊張による血行不良がしびれの要因であると考えた。
短母指外転筋停止部周辺を触察し、筋緊張が確認できたため、緩消法にて約2分弛緩したところ、左手橈側のしびれが主観で2割減との報告を受けた。しびれに変化がみられたため、同部位を緩消法にて約5分弛緩したところ、左手橈側のしびれが主観にて消失したとの報告を受けた。左手尺側のしびれが残存していたため、肘部尺側を触察し、筋緊張が確認できたため、緩消法にて約2分弛緩したところ、左手尺側のしびれが主観にて約1割消失したとの報告を受けた。しびれに変化がみられたため、同部位を緩消法にて約2分弛緩したが、左手尺側のしびれに変化がみられなかったため、左肘部尺側の筋緊張を誘発すると考えられる、大円筋停止部周辺を触察し筋緊張が確認できたため、緩消法にて約2分弛緩したところ、左手尺側のしびれが主観で3割減少したとの報告を受けた。
しびれに変化がみられたため、同部位を緩消法にて約3分弛緩したところ、左手尺側のしびれが主観にて5割減との報告を受けた。ここで、大円筋停止部周辺の筋は比較的弛緩していたため、大円筋停止部周辺の筋緊張を誘発すると考えられる腰部側面を触察し、筋緊張が確認でき、押圧深が約0.5cmであったため、緩消法にて約15分弛緩したところ、押圧深が約2cmと大きくなり、左手尺側のしびれが主観で8割減となった。
「50年以上症状があり、一生付き合うものだと思っていたので、まさかここまで改善するとは思っていなかった」と何度も感謝の言葉をいただいた。