【患者】70代後半、男性
【主訴】腰の手術をしたが腰の痛みが続いている。立ったときに腰が伸びない。
【既往歴】10年前、他県の病院で腰部脊柱管狭窄症に対して手術。8年前、同疾患に対して同病院にて再手術。
【現病歴】他県の病院にて腰の手術を2回受けている。1回目の手術で腰痛は減ったが継続しており、2
年後に増悪。また、両下肢痛も合併したため同病院にて再手術を受けた。2回目の手術後、腰痛と両下肢痛は減ったが、残存はしていた。年数が経つごとに、だんだん腰が伸びなくなってきた。また、最近は通常のリハビリで症状の変化がない、とのことで来院された。
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【現症】腰部は術創部周囲を中心に、筋緊張が非常に強い。体幹は立位で後屈不可で、胸腰部の関節可動域(以下、ROM)は自動伸展-10°・他動伸展0°。下肢しびれなし。仰臥位からの寝返り動作や、腹臥位からの起き上がり動作は緩慢。
【検査所見】単純レントゲン写真にて、上位胸椎から腰椎まで全体的に関節症性変化が強い。腰仙部は、L4からS1まで内固定術後。内固定材の逸脱なし。
【治療と結果】腰部周囲の筋肉に緩消法を約20分実施し、立位での胸腰部ROM後屈は、自動が-10°から0°に、他動が0°から10°
に改善した。
それに伴い、体幹可動時の腰痛も10から7(NRS改変)と小さくなった。
ベッド上での寝返り動作・起き上がり動作も、主観で、当初より行いやすくなったとのことだった。
【考察】腰椎から仙骨にかけて内固定を行っているため、物理的に動かない部分が存在する。従って、その周囲の筋肉が最も筋緊張が高くなっていることが推測される。しかし、腰部表面の筋緊張を減らすことで、痛みやROMは当初より改善できた。今後も緩消法を継続することで、更に症状を減らせる可能性があると考える。