【患者】60代前半、女性
【既往歴】―
【主訴】右肩が痛くて動かせない、服を着るときや脱ぐ時も痛い。
【現病歴】約3ヶ月前に誘因なく右肩関節周辺に痛みが発症する。現在まで鍼灸院や整体院へ通院し10回前後の施術を受けている。
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【現症】右肩関節可動域(以下、ROM)は自動で前方挙上約90°、外転約90°、水平屈曲約130°で三角筋前部線維に痛みのため制限あり。結帯動作時の母指先端の位置(以下、結帯動作)は第5腰椎高位で三角筋中部線維の痛みのため制限あり。安静時痛は無し。
【施術と結果】本症例は3ヶ月前から慢性的な痛みを訴えている症状であることから、右肩周辺の筋緊張が痛みの要因と考え触察したところ、頚部右側から右肩周辺、背部から腰部までの広範囲で筋緊張を確認した。特に右腋窩後壁の筋に強い筋緊張を確認した、この部位が結帯動作時の痛みの要因と考え施術を行う事とした。
右肩甲下筋と思われる筋緊張部位へ2分筋弛緩を行い筋弛緩を確認した結果、結帯動作は第3腰椎高位になり、痛みは10から3(NRS改変)と小さくなった。
次に三角筋前部線維付着部と思われる鎖骨遠位外1/3周辺に筋緊張を確認し筋弛緩を2分行い筋弛緩を確認した結果、右肩ROMは自動で前方挙上約110°、外転約120°、水平屈曲約130°で三角筋前部繊維の痛みは10から3(NRS改変)となった。肩周辺の筋弛緩で痛みの変化やROMの改善があったが、背部から腰部までの筋緊張が頚部から右肩周辺の筋緊張の要因だと考えたため、腰部への施術に切り替える。第2腰椎高位から第4腰椎高位の棘突起から外側約5cmの部位に筋緊張を確認し、筋緊張が消失するまで約15分筋弛緩を行った結果、右肩ROMは自動で前方挙上約180°、外転約180°、水平屈曲約130°で三角筋前部線維の痛みは10から0(NRS改変)となった。
約3ヶ月間痛かった症状が短時間で改善されたことに大変驚かれ、施術後に上着を着るときも痛みが無かったことから嬉しそうに笑顔で帰路につかれました。