【患者】 80代後半、女性
【主訴】 右のお尻と腰が痛い。筋肉が落ちたせいなのか足に力が入らない感じ。一度しゃがみ込むと立ち上がれない。
【既往歴】 胃がん・子宮筋腫術後、腎臓病、第1腰椎圧迫骨折
【現病歴】 約1ヶ月前より出現した臀部および腰部の疼痛に対し、鎮痛剤による投薬治療を継続していたが、症状の改善は見られず、むしろ徐々に立ち上がりの困難さが増悪。加齢による筋力低下を疑っていたが、日常生活に支障をきたすため来院となった。
続きを読む緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】 80代後半、女性
【主訴】 右のお尻と腰が痛い。筋肉が落ちたせいなのか足に力が入らない感じ。一度しゃがみ込むと立ち上がれない。
【既往歴】 胃がん・子宮筋腫術後、腎臓病、第1腰椎圧迫骨折
【現病歴】 約1ヶ月前より出現した臀部および腰部の疼痛に対し、鎮痛剤による投薬治療を継続していたが、症状の改善は見られず、むしろ徐々に立ち上がりの困難さが増悪。加齢による筋力低下を疑っていたが、日常生活に支障をきたすため来院となった。
続きを読む【現症】 蹲踞姿勢からの自力起立が困難な状態。机などの固定物を支持として利用することで、ようやく起立が可能となる。下肢の支持性低下および出力不全が顕著に認められた。
【検査結果】レントゲンにて変形性腰椎症あり。
【施術と結果】 本症例は、疼痛発生後の投薬期間中に症状が増悪していること、および触察にて腰部に著明な筋緊張が確認されたことから、下肢の経年性筋力低下ではなく、筋緊張による神経伝達の阻害、あるいは拮抗筋の過緊張による出力抑制が主因であると推察。腰部の筋弛緩を優先的に行う方針とした。
まず、腰部全体の筋弛緩には腰部側面の筋弛緩が必要不可欠と考え、腰部側面を施術開始部位とした。施術者①による開始から約10分で、筋弛緩を確認。この時点で再度起立動作を確認したところ、脚への入力困難感が主観で半減したとの報告を受けた。良好な変化を認めたため、同部位への施術を継続することとした。
次に施術者②に交代し、さらに約20分間、腰部側面から下肢前面の筋群と筋膜で繋がっていると考えられる腹部寄りにかけて施術。最終的に起立動作時の入力困難感は主観で9割減と大幅に改善したとの報告を得た。ここで規定の施術時間を終了した。
【考察】 本症例は、患者本人が「加齢による筋力低下」と認識していた症状が、実際には腰部筋群の過緊張による「下肢出力阻害」であったことを示唆している。特に腰部側面から腹部寄りの筋弛緩を行ったことで、下肢への神経伝導の正常化、あるいは股関節屈曲・伸展に関わる筋群の連動性が回復し、速やかな出力向上に繋がったと考えられる。
また、同席した家族から「姿勢が良くなった」との指摘があり、腰部側面の弛緩が体幹の抗重力伸展機能も改善させた結果であると推察する。
1ヶ月間の投薬で改善しなかった運動機能が、短時間の筋弛緩によって改善した事実は、高齢者の「力が入らない」という訴えに対して、筋力強化(トレーニング)よりも先に筋緊張の除去を行うことの重要性を裏付けるものと考えられる。今後は、現状維持のために腰部の柔軟性を確保しつつ、安定した起立動作の定着を見守る方針である。
【その他】施術は施術者①(渡邉)と施術者②(秦)が交替しながら行った。施術者が異なっても緩消法の効果が現れた症例であった。