【患者】50代後半、女性
【主訴】2度目の脳梗塞後、右脚が上がらなくて躓いて転んだりするので困る。
【現病歴】約35年前に1度目の脳梗塞を発症するも幸い四肢麻痺なし。約20年前に2度目の脳梗塞を発症後、右下肢に筋力低下が残存している。特に歩行時に右脚が上がりにくく、頻繁に転倒の危険性を感じているため、施術を希望し来院。
続きを読む緩消法研究会では、緩消法施術による症例報告を掲載しています。
【患者】50代後半、女性
【主訴】2度目の脳梗塞後、右脚が上がらなくて躓いて転んだりするので困る。
【現病歴】約35年前に1度目の脳梗塞を発症するも幸い四肢麻痺なし。約20年前に2度目の脳梗塞を発症後、右下肢に筋力低下が残存している。特に歩行時に右脚が上がりにくく、頻繁に転倒の危険性を感じているため、施術を希望し来院。
続きを読む【現症】右股関節の自動屈曲可動域(以下、ROM)は約5°で、歩行時に右下肢は不全麻痺に伴う跛行あり。
【施術と結果】本症例は、脳梗塞後の後遺症による右下肢筋力低下を訴えており、以前から腰痛に対して腰部への緩消法を行っていたにもかかわらず、本症状には変化がなかったと報告されていた。故に、頚部の筋緊張による脳血流量低下や、頚部から右股関節・右大腿部にかけての筋膜の繋がりに起因する動作不良等が関与している可能性を考えた。触察にて、頚部右側の胸鎖乳突筋付近に、左側と比較して強い筋緊張を認めたため、当該部位を施術開始点とした。
まず、施術者①から開始。当該部位に対し、緩消法を約2分間実施。筋緊張の軽減を触知でき、ROMは約30°まで改善した。改善が確認されたため、同部位への施術継続を決定した。
次に、施術者②に交代し同部位への施術を継続。約5分後、更なる筋緊張の軽減を触知。ROMは約90°と大幅に改善した。
ここで、別の症状の訴えがあったため本症例への施術は終了となったが、同席していた家族からは「こんなに脚が上がってるのは、しばらく見た覚えがないので驚いた」と、施術効果に対する驚きの声が聞かれた。
【考察】本症例は、脳梗塞後の右下肢筋力低下、特に股関節屈曲障害に対し、頚部の筋緊張に焦点を当て緩消法を行った結果、短時間で著しいROMの改善を認めた。脳血管障害後の麻痺に対するアプローチは多岐にわたるが、本症例においては、遠隔部位(頚部)の筋緊張緩和が、患側下肢の運動機能改善に寄与した。
中枢神経系と末梢の筋緊張、さらには筋膜の繋がり等が運動機能に影響を与えている可能性があり、既存のリハビリテーションでは得られにくい機能改善をもたらす可能性が示唆された。
【その他】本症例は、当院にて、緩消法認定技術者の①筆者②渡邉の2名で順次施術を行った症例であり、施術者を変更しても緩消法の効果を確認出来た症例であった。