【患者】30代後半、女性
【主訴】右のふくらはぎの内側が痺れている。
【既往歴】右母趾末節骨過剰骨切除手術(約4ヶ月前)
【現病歴】約8ヶ月前、特に誘因なく、右下腿に痺れが出現。近医整形外科にてMRI検査を行い、腰椎椎間板ヘルニアの診断を受けた。その後、他院ペインクリニックにてブロック注射を5〜6回受けたが症状に変化なし。ヘルニアよりも右母趾の腫瘤状の過剰骨が症状の原因と説明され、約4ヶ月前に切除手術を受けた。しかし、症状は減少しなかった。
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【現症】右腓腹部内側に常に痺れを感じている。腓腹部に知覚鈍麻領域は認めなかった。
【検査結果】MRIにてL5/s後方全体(右<正中から左)に椎間板ヘルニアあり。
【施術と結果】本症例に示す症状以外に、足部にも痺れを訴えていた為、膝窩部にある筋腱群の緊張亢進により、膝窩付近の動脈を圧迫し生じている症状と考えた。触察にて、膝窩部に筋緊張亢進部分を確認。特に緊張を強く感じる箇所を施術開始箇所とした。
まずは、施術者①から施術開始。約30秒で同部の筋弛緩を確認。痺れは主観で4割減となった。症状に変化がみられた事から、同部への施術継続を決定。
次に施術者②に交代。施術開始から約1分で痺れは更に2割減となった。その後約2分施術を継続するも症状に変化が見られなかった事から、膝窩と背面で繋がる腰部の筋緊張も一要因と考えた。そこで、腰部に施術を試みる事とした。
施術者②が施術を継続。約10分で、痺れは更に減少し、主観で約2割が残存する程度となった。「腰の筋肉を軟らかくするとふくらはぎの痺れが減ったことに驚いた。」との報告を受けた。
【考察】本症例のように、MRIで椎間板ヘルニアが存在していても、必ずしもそれが下腿に症状を出しているとは限らない。腰部から下肢の筋緊張を減少させる、つまり、筋肉を軟らかくすることで、症状の改善が期待できることを証明できた一例であった。従って、緩消法は、手術を行う前に一度試してみる価値がある徒手療法であると考えられる。
【その他】本症例は、当院にて、緩消法認定技術者の①秦②渡邉の2名で順次施術を行った症例であり、施術者を変更しても緩消法の効果を確認出来た症例であった。尚、本症例の検査は施術者①が行った。