【患者】50代後半、男性
【既往歴】―
【主訴】左の歯と首が痛くて辛い。
【現病歴】半年以上前に歯痛が発生し、近医歯科を受診。歯髄炎との診断で治療を受けた。その後も歯痛は残存し、約2ヶ月前からは頚部左側にも痛みが広がっている。
続きを読む
【現症】上顎左側犬歯周辺から上顎第二大臼歯周辺、頚部左側に安静時痛がある。尚、歯髄炎の治療は終了している。日常生活動作に支障はない。
【施術と結果】本症例は、歯痛と同時に頚部左側の痛みを訴えており、歯髄炎の治療は終了していることから、左胸鎖乳突筋周辺の筋緊張が痛みの一つの要因であると考えた。
まず、左胸鎖乳突筋周辺を触察したところ、左胸鎖乳突筋全体に筋緊張を確認した。左胸鎖乳突筋停止部周辺の筋緊張は顕著であった。左胸鎖乳突筋停止部の筋緊張が顕著であったことから、左胸鎖乳突筋停止部周辺を緩消法にて約30秒弛緩したところ、歯痛が10から7(NRS改変)となり、頚部左側の痛みは10から8(NRS改変)となった。痛みに改善がみられたため、さらに同部位を緩消法にて約1分弛緩したところ、歯痛は10から3(NRS改変)となり、頚部左側の痛みは10から5(NRS改変)となった。次に、左胸鎖乳突筋全体に筋緊張が確認できたことと、左胸鎖乳突筋の筋緊張は腰部側面の筋緊張にて誘発されると考えたことから、腰部側面に施術を移った。
触察にて腰部側面の筋緊張を確認。緩消法にて約2分弛緩したところ、歯痛は10から0(NRS改変)となり、頚部左側の痛みも10から0(NRS改変)となった。「痛みが辛かったので、歯を抜かないといけないかと思っていた。抜かなくても痛みがなくなってうれしい。」と喜びの声をいただいた。