【患者】60才前半、女性
【主訴】立ち上がる時や歩く時に両脚がすごく痛い
【既往歴】特記事項なし
【現病歴】約1ヶ月前、朝起床後に起き上がった際に腰痛が発生。その後、徐々に両臀部から大腿後面・左下腿後面へと痛みの範囲が拡大した。近医整形外科を受診し、レントゲン検査にて骨に異常なしと言われ、消炎鎮痛剤の処方を受けた。近所の整骨院に2週間以上通っているが、まだ痛みが変わらず残存している。また、一昨日より両下肢痛が悪化し、本日当院来院時は車椅子を使用している状態。
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【現症】両下肢痛は、特に椅座位からの立ち上がり動作時および歩行開始時に一番強い。疼痛範囲は、腰部全体と両臀部から大腿後面にかけて特に強い。疼痛部位に腫れ・皮疹・皮下出血斑なし。両下肢伸展挙上(SLR)テストは、右約50°・左約60°で痛みの誘発なし。両下肢に知覚鈍麻・運動麻痺なし。
【検査所見】レントゲン検査にて軽度の変形性腰椎症の所見あり。
【施術と結果】本症例は、目視にて腫れ・皮疹・皮下出血斑が無いため、外傷や帯状疱疹が起因の痛みは否定的であり、また、SLRが両側70°以下であり両下肢のtight hamstringsが存在していることから、痛みは腰部後方から両大腿部後面にかけての筋緊張亢進によるものと推察した。
腰部後方の筋緊張は腰部側面の筋緊張と関連があると考え、まず施術者①が、腰部左右側面から緩消法を開始。約2分後、椅座位からの立ち上がり動作時痛および歩行開始時痛は10から8(NRS改変)と小さくなった。
効果があったため同部位に続けて実施。約5分後、椅座位からの立ち上がり動作時痛および歩行開始時痛は10から6~7(NRS改変)と小さくなった。
次に、施術者②が腰部後方も含めて実施。約10分後、椅座位からの立ち上がり動作時痛および歩行開始時痛は10から5(NRS改変)と半減。痛みは半分残存しているが歩けるようになり、主観で「車椅子いらなくなった」とこの時点で満足されたため施術を終了した。
【その他】本症例は、当院にて、緩消法認定技術者の①渡邉・②筆者の2名で順次施術を行った症例であり、施術者を変更しても緩消法の効果を確認出来た症例であった。尚、本症例の検査は②が行った。