【患者】30代後半 女性
【主訴】3日前に急いで小走りをしたら、急に腰がズキンときて動くのが辛い。
【既往歴】急性腰痛症(6年前と10年前)
【現病歴】6年前に急性腰痛症になったのを最後に、ここ数年は腰痛はなかったが、3日前に急いで小走りをした際にぎっくり腰を発症した。
家にあった鎮痛剤を飲み、コルセットをして様子をみていたが、回復の兆しがなく当院に来院された。
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【現症】安静時痛あり、痛みの範囲は腰部(脊柱起立筋周辺)から臀部(仙棘筋周辺)に於いて認められ、特に下部腰椎周辺が著明である。動作痛も著明で胸腰部の伸展は不可であり、起立時は常に胸腰部屈曲約20°である。日常動作に於いては騎座位からの立ち上がり動作時の痛みが顕著に現れる。左右の回旋時も動作痛が著明で寝返りが不可である。ただ、側屈動作の痛みは認められない。また、前日くらいから左右大腿部外側にも痛みが発現している。
【施術と結果】本症例は急性腰痛であり、安静時痛も現存する為、特に痛みを訴える下部腰椎周辺の軟部組織損傷も疑われる為、目視及び触察にて腫脹、熱感、発赤の有無を確認するも認められなかった。ただ、軽微な損傷は確実な判断がつかない為、軟部組織損傷の可能性も考慮しつつ施術を開始した。
先ず、安静時痛を訴える下部腰椎周辺を施術するのはリスクがあると考え、第二疼痛部位である臀部(仙棘筋周辺)の真上にあたる腸骨陵上縁周辺の筋緊張を触察により確認し、同部位に緩消法を約2分行い筋弛緩を確認した。その結果、安静時の変化はなかったが、騎座位からの立ち上がり動作痛及び胸腰部伸展痛が10から8(NRS改変)となった。効果が認められたが、腸骨陵上縁周辺の筋緊張は腰部側面の筋緊張が要因と考察し、施術部位を第3〜第4腰椎高位の腰部側面を触察し、筋緊張を確認。同部位に緩消法を約5分行い筋弛緩を確認した。その結果、騎座位からの立ち上がり動作痛及び胸腰部伸展時痛は10から7(NRS改変)となり、起立時の完全伸展位が可能になった。
効果が認められた為、さらに同部位に緩消法を約20分行い筋弛緩を確認した。その結果、安静時痛は残存するものの、第5腰椎周辺のみと痛みの範囲が狭小した。騎座位からの立ち上がり動作痛及び伸展時痛は10から5(NRS改変)となり、回旋時痛は消失し、左右大腿部側面痛も消失した。痛みが全て消失した訳ではなかったが、大分動ける様になり、生活改善度も向上し、満足の様子で帰路につかれました。