【患者】60代後半 男性
【主訴】右腰と右股関節の痛み
【既往歴】ー
【現病歴】職場の引っ越し作業で、長時間、器具の設定を無理な体勢で行っていた際に右腰に違和感を覚え、作業後も違和感が消えることなく、日増しに痛みに変化してきた。三日前頃より右脚荷重で右股関節周辺にも痛みが出るようになった。座っているだけでも痛みを感じるようになったとのことでご来院された。
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【現症】椅座位で腰部右側から臀部に鈍痛を生じ、右立脚中期で下前腸骨棘遠位の股関節周辺に疼痛を生じる。歩行時は腰部、股関節の痛みは気にならない。関節可動域(以下、ROM)は、他動で右股関節屈曲・内、外転・内、外旋を行ったが、ROM制限は認められなかった。
【施術と結果】本症例は、腰部右側から右臀部にかけてと、右股関節腹側周辺に痛みを訴えており、目視にて傷や腫脹もなく、ROM制限も認められなかったことから、胸腰部右側周辺の筋緊張による血行不良が要因と考えた。
触察にて、腰部側面押圧深約1cmに、第4腰椎(以下、L4)棘突起より右外側約7cmにそれぞれ筋緊張を確認。先ず、腰部側面に対し約2分施術し、押圧深約3cmとなった結果、椅座位にて腰部右側から臀部の痛み10から8(NRS改変)となった為、更に5分施術し、押圧深約5cmとなった結果、同位、同部位の痛み10から5(NRS改変)となり、右下肢への血流を感じると患者さんより報告を受けた為、立脚中期の姿勢を行っていただいたところ右股関節腹側周辺の痛みは10から5(NRS改変)となっていた。
次に、L4右外側約7cmの筋緊張部位に約3分施術し、筋弛緩を確認した結果、腰部右側から右臀部にかけての痛みは10から2(NRS改変)となった為、同部位に約10分施術し、L4右外側の起立筋周辺まで弛緩した結果、痛みは10から0(NRS改変)となり、、立脚中期の姿勢でも右股関節腹側周辺の痛みが10から0(NRS改変)となっていた。
当初は、右下前腸骨棘腹側の筋弛緩を行うことも念頭に置いていたが、腰部の筋弛緩のみで改善がみられた症例であった。