2年前の腰椎圧迫骨折による腰部痛と両下肢痺れに関する改善効果
【患者】70代前半、男性
【主訴】腰が痛く、両足が痺れていて辛い。右膝裏が痛くなってきた。
【既往歴】糖尿病
【現病歴】約2年前、転倒により腰椎圧迫骨折の診断を近医総合病院にて受けた。1週間入院して以降、両下肢に痺れが発症。腰部に痛みが出現しているが、日常生活における関節可動域制限は確認できない。2日前から、右膝窩部に痛みが出現。
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【現症】両下肢全体に痺れがあり、特に起床時に痺れを強く感じるとの事。約1週間前から両下肢の脱力感も感じ始めた事により、杖を使用して歩行している。
【検査所見】腰椎レントゲンにて強い変形性変化あり。
【施術内容・結果】本症例は、腰部に痛みと両下肢全体に痺れを訴えており、両下肢全体の血行不良が痺れを発症し、腰部の筋緊張が腰部の痛みと両下肢全体の血行不良の要因と考えた。また、右膝窩部に痛みを訴えており、右膝窩部周辺の筋緊張が要因と考えた。
初めに、施術者①が触察にて腰部疼痛部位を確認したところ、Jacoby line上の腸骨稜筋付着部付近に筋緊張を確認。緩消法を約2分実施し筋弛緩を確認した。その結果、腰部の痛みが10から3(NRS改変)と小さくなり、両下肢全体の痺れが主観により5割減少したと報告を受けた。引き続き、同施術部位に約1分緩消法を実施したが、痛みと痺れに変化はみられなかった。次に、腰部の筋弛緩が両下肢全体の血行不良の改善と考え、施術者②が腰部を触察し、第3腰椎高位の腰部側面に筋緊張を確認し、緩消法を約10分実施し筋弛緩を確認した。その結果、腰部の痛みが10から0(NRS改変)と消失し、両下肢全体の痺れが主観により足底部のみに痺れを感じるとの報告を受けた。腰部の痛みは消失したが、右膝窩部の痛みが残存している事から、施術者③が右膝窩部を触察したところ、筋緊張を確認。緩消法を約1分実施し筋弛緩を確認した。その結果、右膝窩部の痛みが10から4(NRS改変)と小さくなった。引き続き、同施術部位に約1分実施し筋弛緩を確認した。その結果、右膝窩部の痛みが10から0(NRS改変)と消失した。
次に、施術者④が右足底部の痺れに対して、右脛骨内果周辺部の筋緊張が右後脛骨動脈を圧迫していると考え、触察により筋緊張を確認。緩消法を約2分実施し筋弛緩を確認した。その結果、右足底部の痺れが主観により3割減少したと報告を受けた。引き続き、同施術部位に約1分実施したが痺れに変化はみられなかった。右足底部の痺れは腰部の深層部の筋弛緩が必要と考え、触察により腰部側面の筋緊張を確認し、緩消法を約10分実施。腰部の筋弛緩は確認できたが、右足底部の痺れに変化はみられなかった。
右足底部の痺れを改善させるためには、第5腰椎横突起付近の深層部まで筋弛緩が必要と考え、継続して腰部を筋弛緩していく必要があると考えられる症例であった。右足底部の痺れは残存しているが、腰部の痛みが消失し、両下肢全体の痺れの改善がみられて良かったとの言葉を頂いた。
【その他】本症例は、当院(しん整形外科)にて、緩消法認定技術者の①筆者(秦)・②小林・③渡邉・④清水の4名で順次施術を行った症例であり、部位ごとに施術者が変更しても緩消法の効果を確認出来た症例であった。尚、本症例の検査は施術者①が行った。