【患者】70代前半 女性
【主訴】左の股関節が痛くて、屈めないから床にある物を膝をつかないと取れない。膝をつくと立つ時に膝が痛い時がある。
【既往歴】右股関節手術後(10年前。詳細不明)
【現病歴】10年前に右股関節の手術をし、運動不足解消のため歩行運動をしていたが、5年ほど前から歩行開始約10分で左股関節周辺に痛みが発生するようになり長時間の歩行が困難となった。左股関節屈曲時に可動域制限があり、床に落とした物を拾う動作で前傾姿勢が十分に取れず、膝立ち位で床に落とした物を拾わなければならない状態である。
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【現症】左股関節の安静時痛なし。立位による前屈姿勢で左股関節周辺に痛みが出現し、左股関節可動域(以下、ROM)は自動で屈曲約80°であった。
【施術内容・結果】本症例は、立位による前屈姿勢により左股関節周辺に痛みを訴えており、左鼡径部周辺部の筋緊張が痛みの要因と考えた。
初めに、痛みを訴えている左鼡頚部周辺を触察した結果、左鼡径部中央周辺の筋緊張部を確認し、緩消法を約1分行い筋弛緩を確認した。その結果、立位による前屈姿勢の左股関節周辺の痛みが10から5(NRS改変)と小さくなった。痛みに変化があったため、左鼡径部中央周辺にを更に約2分緩消法を行い筋弛緩を確認した。その結果、立位による前屈姿勢の左股関節周辺の痛みは10から4(NRS改変)と小さくなった。
次に左股関節周辺の痛みは左腸骨稜周辺の筋緊張が要因と考え、左腸骨稜周辺を触察したところ左腸骨稜外側に痛みを感じる箇所があり、その箇所にしこりのような筋緊張を確認したため、緩消法を約1分行い、しこりのような筋緊張が消失した事を確認した。その結果、立位による前屈姿勢の左股関節周辺の痛みが10から0(NRS改変)に消失した。その結果、左股関節ROMは約110°となり、立位のまま床に落ちた物を拾う動作ができる事を確認した。
本人も下肢の動きが軽快に感じると喜んで帰られた。