【患者】80代前半、女性
【既往歴】高血圧症、膀胱癌術後
【主訴】水彩画を集中して長時間描いていて右肩が痛くなり、時々ズキッと激痛が走る。
【現病歴】7ヶ月前に長時間集中して右肩関節屈曲約90°を保ち水彩画を描いている時に右肩関節近位約4〜5㎝の箇所(以下、疼痛箇所)に痛みが発症。その後、常時右肩関節周辺に鈍痛がある。また、動作に決まりなく時折右肩関節付近に激痛がある。右肩関節付近の激痛に恐怖を覚え、現在は水彩画を描くのはやめているが、痛みは無くならない。
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【現症】安静時も常時右肩関節周辺に鈍痛あり。可動域制限はないものの右肩関節側方挙上約90°で疼痛箇所に痛みが発生する。
【施術と結果】本症例は右肩関節周辺に痛みを訴えており、右肩関節周辺の筋緊張が疼痛箇所の痛みの要因であると考え、まず右肩関節腹側を触察したところ、右大胸筋上部筋の停止部である上腕骨大結節陵周辺に筋緊張を確認し、約2分緩消法を行い筋弛緩を確認した。その結果、右肩関節側方挙上約90°での疼痛箇所の痛みは10から8(NRS改変)、痛みに変化があったため引き続き同箇所を筋弛緩したが、痛みの変化はそれ以上でなかった。
次に、右肩関節背側を触察したところ右肩甲骨外側上部周辺に筋緊張を確認した為、緩消法を約2分施術し筋弛緩を確認、その結果、右肩関節側方挙上約90°での疼痛箇所の痛みは10から5(NRS改変)となり、痛みに変化があったため、引き続き同箇所を筋弛緩したが、痛みの変化は出なかった。次に腋窩を触察したところ、筋緊張を確認したため、緩消法を約2分行い筋弛緩を確認した。その結果、右肩関節側方挙上約90°での疼痛箇所の痛みは10から3(NRS改変)。
痛みに変化があったので、さらに同箇所に筋弛緩を行なったが、それ以上の変化は出なかった。この時点で、主観で右肩関節の軽量感を訴えた。肩関節周辺の筋緊張は腰部の筋緊張に要因があると考え、腰部側面に緩消法を約10分行い、腰部側面の押圧深は約1.5㎝から約3㎝となり、右肩関節側方挙上約90°での疼痛箇所の痛みは10から2(NRS改変)とさらに小さいなった。また、常に感じていた右肩関節周辺の鈍痛も主観で7割減少した。施術中は右肩関節付近の激痛は起きなかった。
「右肩が軽くなったので、あまり長時間にならないように右肩に負担をかけないように水彩画を始める」と言っていた。