【患者】50代前半 女性
【主訴】頭頂部が痛く、集中力に欠ける。毎日が痛みで辛い。
【既往歴】慢性上咽頭炎、子宮筋腫
【現病歴】約3年前から頭頂部に痛みを感じるようになり、近医脳神経外科を受診し、CTスキャン検査など行ったが異常は認められなかった。 肩こりと首こりは常に感じている。
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【現症】安静時痛あり。目視による頭頂部の外傷、浮腫などは認められない。後頭部から頚部背側に強い引張感あり。頚部可動域制限あり。自動で頚部屈曲可動域(以下、ROM)は約15°で痛みが発生する。頚部伸展ROM約30°、右回旋ROM約20°、左回旋ROM約20°。
【治療と結果】本症例は頭頂部の痛みを訴えているが、目視による外傷、浮腫などもないため、頚部周辺の筋緊張が要因ではないかと考えた。後頭部から頚部背側の引張感も訴えているため、頚部を触診したところ全体的に筋緊張が強く、まず頚部左右背側に緩消法を約1分ずつ行い、筋弛緩を確認した。その結果、自動で頚部屈曲ROM約30°、伸展ROM約40°となり、頭頂部の痛みは10から8(NRS改変)と小さくなった。
次に左右両側の胸鎖乳突筋周辺に緩消法にて約2分ずつ筋弛緩を行った結果、右回旋ROM約35°、左回旋ROM約40°となった。頭頂部の痛みは10から5(NRS改変)と小さくなった。胸鎖乳突筋周辺の筋弛緩で痛みの変化が大きかったため、さらに同部位への施術を行い、頚部左右回旋ROMは約45°となり、頭頂部の痛みは10から4(NRS改変)と小さくなった。
頚部の筋緊張は腰部の筋緊張が要因と考え、腰部外側を触察したところ筋緊張を確認したため、緩消法にて約12分間筋弛緩を行ない、その結果、腰部外側の押圧深は約1.5㎝から約3.5㎝となった。頭頂部の痛みは10から3(NRS改変)とさらに小さくなった。
「頭頂部の痛みは完全には取れていないが、思いがけず周りが明るく見え、首も軽くなり、希望が出てきた」と涙ぐまれた。