【患者】30代後半 男性
【主訴】背筋を伸ばすと腰が痛い。左のお尻に痺れがある。
【既往歴】坐骨神経痛(7〜8年前)、椎間板ヘルニア(約2年前)。7〜8年前から腰痛が年に一度のペースで起こり、その都度近医整形外科に通院。酷いときは痛み止め注射と漢方薬治療を受け、仕事を続けていた。
【現病歴】2日前の夜、腰部に違和感あり。翌朝の大工仕事を始める前から痛みが出現。2日後に旅行を控えていたため、痛みを我慢して2日間大工仕事をした。
続きを読む
【現症】第4腰椎の脊柱起立筋周辺の深層部に痛みあり。その後左臀部に痺れが出現。自動運動による腰背部伸展可動域(以下、ROM)は腰かけ座位にて約0°。歩行速度は主観で通常の6割程度。
【施術と結果】本症例は、施術日の前日から腰背部伸展時に起こる痛みに加え、後に痺れが出現していることから、その要因として、腰部の筋緊張によるものと推察し、目視及び触察にて、痛みを訴える部位の皮下出血や腫脹、熱感がないことを確認した。
はじめに、疼痛部位を含む第1腰椎から第4腰椎棘突起より外方約1〜5cmの範囲に筋緊張を確認し、緩消法を約5分行い、筋弛緩を確認した。結果、左臀部の痺れが主観で6割減と報告を受けた。この時点で脊柱起立筋の痛みに変化がなかったため、腰部全体の筋緊張が脊柱起立筋の筋緊張の要因と考え、腰部側面より緩消法を約20分行い、筋弛緩を確認した。結果、脊柱起立筋の痛みは10から3 (NRS改変)と小さくなり、主観で左臀部の痺れが消失したとの報告を受けた。
また、自動運動による腰背部伸展ROMは腰かけ座位にて約15°と大きくなった。その後、最も痛みのある第4腰椎棘突起より外方約1cmの部位に緩消法を約2分行ったところ、痛みを訴える位置が移動した。移動する度にその部位を緩消法にて合計約20分行い、その都度筋弛緩を確認。主観で腰痛が楽になったとのことだったが、深層部の痛みを訴えているため、再び腰部側面より緩消法を約15分行い、筋弛緩を確認した。結果、腰背部伸展動作時に、第4腰椎脊柱起立筋の深層部に違和感は残るものの、痛みは10から1(NRS改変)と小さくなった。
歩行速度は通常に戻り、施術日の2日後、予定していた沖縄旅行で何不自由なく泳ぐことが出来、とても楽しめたとの報告を受けた。