【患者】50代前半 男性
【主訴】立っている時・座っている時や歩いている時に右足のふくらはぎが張り、よくつるようになり、痛みで右足を引きずり気味に歩くようになってしまった。仰向けで寝ると腰が痛い。
【既往歴】―
【現病歴】約1カ月前から立位・座位や歩行時に右下腿部背側に引張感と痛みが有り、有痛性筋痙攣が頻発するようになった。腰部は安静時痛が有り、仰臥位で腰部の痛みが増大する。1週間前に近医整形外科にて腰椎椎間板ヘルニアと診断を受け、鎮痛薬を服用中。職業はタクシー運転手。
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【現症】右下腿部背側は立位と座位で安静時痛有り。右足関節可動域(以下、ROM)は自動で底屈約20°・背屈約10°で右下腿部背側の痛みが増大する。歩行時は右下腿部に荷重をかけると痛みが増大する為、右下肢の立脚中期~立脚終期の時間が極端に短い。腰部は安静時に鈍痛が有り、仰臥位で痛みが増大し、胸腰部ROMは自動で屈曲約20°・伸展約15°で痛み有り。腰部側面の押圧深は約1.5cm。
【施術と結果】本症例は立位・座位・歩行時の右下腿部背側の痛みと有痛性筋痙攣の頻発、仰臥位での腰部の痛みを訴えており、要因は腰部全体の筋緊張とそれに伴う右下腿部背側の筋緊張と考えた。
先ず右下腿部背側を触察したところ右下腿三頭筋の筋腱移行部付近に筋緊張を確認した為、緩消法を約5分施術した結果、疼痛部位が右下腿部前面に移行した為触察したところ右前脛骨筋起始部付近に筋緊張を確認した為、緩消法を約5分施術し筋弛緩を確認した時点で、立位と座位での痛みは10から4(NRS改変)と小さくなり、右足ROMは自動で底屈約40°・背屈約20°と大きくなった。
次に腰部側面に緩消法を約20分施術し筋弛緩を確認した結果、腰部側面の押圧深は約1.5cmから約3cmと大きくなり、腰部の安静時痛は10から6(NRS改変)と小さくなり、胸腰部ROMは自動で屈曲約40°・伸展約20°と大きくなった。
歩行時に右下腿部に荷重をかけた時の痛みは10から4(NRS改変)と小さくなり、主観で歩行動作もスムーズになったと報告を受けた。2週間後に来院した際には、有痛性筋痙攣の頻度が主観で約8割減少したと報告を受けた。