【患者】80代前半 女性
【主訴】2日前から急に左肩が痛く挙がらなくなった。
【既往歴】腰痛症
【現病歴】2日前に特に誘因なく左腕を挙上しようとしたら左肩関節が痛くなり、挙上がし辛くなった。元々腰痛の施術の為来院した際に相談を受け対応した症例である。
続きを読む
【現症】安静時痛はなく、痛みは運動痛のみである。左肩関節の関節可動域(以下、ROM)は自動で挙上約90°、外転約80°である。
【施術と結果】本症例は2日前から特に誘因なく発現した左肩関節に於けるROM制限を伴う運動痛を訴えているが、発症機転や触察により左肩関節に腫脹や熱感が確認できなかった為、筋緊張による血行不良であろうと考えた。
先ず実際に痛みが発現する挙上動作を行なっていただくと、挙上約90°で左肩関節周辺に痛みの発現を確認した。その状態で左肩関節周辺を触察すると烏口突起から近位約5cmの大胸筋辺りに筋緊張を確認した。同箇所に約1分緩消法を行い筋弛緩を確認した。その結果、左肩関節挙上時の痛みは10から2(NRS改変)となりROMは自動で挙上約145°となった。効果が認められた為、引き続き大胸筋辺りの筋緊張箇所を触察により確認し約2分筋弛緩した。その結果、左肩関節挙上時の痛みは10から0(NRS改変)と消失し、ROM制限も解消された。
次に左肩関節外転時の痛みを確認するとこの時点で10から5(NRS改変)と軽減していたが左大円筋辺りに触察により筋緊張を確認した為、同箇所に緩消法を約2分行い筋弛緩を確認した。
その結果、左肩関節外転時の痛みは、10から0(NRS改変)と消失し、ROM制限もなくなり外転しやすくなったとの報告を受けた。肩関節の痛みは改善するまで時間がかかると思い込んでいた様であったが、短時間での改善に大変驚かれた様子であった。