【患者】50代前半 男性
【主訴】肩が痛い。上を向いた時に腕の痺れと指に痛みが出る。
【既往歴】頚椎ヘルニア
【現病歴】2年前より左小指に違和感がするようになり、近医療機関にてMRI検査を行い頚椎ヘルニアと診断を受ける。半年前より頚部後屈時に左上腕部に痺れを感じると共に、中.薬指にも痛みが発生するようになった。
続きを読む
【現症】安静時、左肩甲骨上縁の凝り感。頸部関節可動域(以下、ROM)自動、後屈約10°で左上腕が痺れ、左中・薬・小指に痛みが生じる。頚部ROM自動、前屈は制限は確認できなかった。
【施術と結果】本症例は、頸部後屈動作時に左上腕の痺れと左中・薬・小指の痛みを訴えており、目視・触察にて熱感や腫脹が確認できなかったことから、痛みを訴える部位周辺の筋緊張による血行不良が要因ではないかと推測した。先ず、頸部の筋群を触察したが、過度な筋緊張は確認できなかった。次に、左肩甲骨周辺から胸腰部に筋緊張が確認できたため、胸腰部の筋緊張が頸部及び上肢の症状を誘発させているのではないかと推測し、胸腰部から施術を行うこととした。
先ず、腰部側面を触察し、体表より押圧深約2cmの箇所に筋緊張を確認し、約2分施術を行い押圧深約3cmとなった結果、頚部ROM自動、後屈約15°と変化がみられたため、腹斜筋・第2腰椎高位(以下、L2)の大腰筋も含め、約10分施術しを行い、腰部側面の押圧深が約5cmになった結果、頚部ROM自動、後屈約30°となった。
次に、第12胸椎高位(以下、T12)周辺の筋緊張部位に約5分施術を行い、筋弛緩を確認した結果、頚部ROM自動、後屈約40°と変化がみられたため、更に継続し第10胸椎高位(以下、T10)から第2腰椎高位(以下、L2)の筋緊張部位に約5分施術を行い筋弛緩を確認した結果、頸部ROM自動、後屈約50°となり上腕の痺れの範囲がご本人主観で上腕三頭筋内側辺りのみとなり、指の痛みは10から4(NRS改変)となった。
次に、手指の痛みに対応するため、施術部位を大・小円筋から上腕内側、前腕内側に移行し、触察にて筋緊張を確認し、約10分施術を行い筋弛緩を確認した結果、中、薬指の痛みは10から0(NRS改変)と消失し、小指の痛みが10から2(NRS改変)となった。小指の痛みは左三頭筋遠位の尺骨神経周辺の筋群の筋緊張ではないかと推測し、触察にて筋緊張を確認。約1分施術を行い、筋弛緩を確認した結果、小指の痛みも10から0(NRS改変)となった。