【患者】40代後半 男性
【主訴】右膝の裏が痛い。
【既往歴】左距骨脱臼骨折(約3か月前)
【現病歴】約25年前、約3mの高さからバク宙して着地した際、着地の衝撃で右膝窩部痛を発症。右膝関節可動域制限や歩行時痛を伴う。発症以来、右膝窩部に約3cm大の塊がある感覚で、その塊が妨げとなり正座が困難。約3か月前に左距骨脱臼骨折をし、現在整形外科にて週2回リハビリ通院中。その他、毎日2〜3kmの散歩を行っており、左足を庇って歩いているため右膝窩部痛が増悪。
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【現症】右膝窩部周辺に歩行時痛あり。長座位での右膝窩から床面までの隙間は約2.5cm、正座時の踵臀間距離は約1.5cm。
【施術と結果】本症例は、右膝窩部痛を訴えており、目視及び触察にて痛みを訴える部位の皮下出血や腫脹及び熱感が感じられないことから、右膝窩部周辺の筋緊張による血行不良が痛みの要因と考えた。また、約25年前の損傷時に発生した筋硬結と考えた。
はじめに、右膝窩部周辺を触察したところ、筋緊張を確認した。筋緊張部位に緩消法を約5分施術し、筋弛緩を確認した結果、右下肢に血液が流れる感覚があるとの報告を受けた。変化が見られたことから、さらに同部位周辺の筋緊張部位に約5分施術し筋弛緩を確認した結果、右膝窩部周辺が軽くなったとの報告を受けた。
次に、右膝窩部周辺の表層部の筋緊張が残存しており筋硬結様のしこりが不明瞭であったため、右膝窩部周辺の筋緊張の要因として腰部の筋緊張が考えられることを説明し、腰部両側面に施術を移行した。腰部両側面の筋緊張を確認し、緩消法を約20分施術し、筋弛緩を確認した。
次に、右膝窩部周辺の筋緊張部位に緩消法を約10分施術すると約2cm大の筋硬結様のしこりが確認できたため、続けて約20分施術した結果、筋硬結様のしこりは確認出来なくなり、右膝窩部周辺の歩行時痛は10から2(NRS改変)と小さくなった。また、長座位での右膝窩から床面までの隙間は約1.5cm、正座時の踵臀間距離は0cmと小さくなった。
後日、施術の5日後には約8kmも歩くことが出来るようになり、右膝窩部周辺の歩行時痛も10から2(NRS改変)を維持していると喜びの報告を頂いた。