【患者】60代後半 女性
【主訴】20年くらい前から左耳が難聴なんです。
【既往歴】脊柱管狭窄症
【現病歴】20年くらい前から特に誘因なく左耳が難聴になった。当時近位耳鼻科を受診し、突発性難聴と診断され治療するも3割程改善するに止まり20年近く経過した。それ以来、治療は行ってなく、腰痛完治の為当院に来院した際に相談を受け対応した症例である。
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【現症】患側の左耳の聞こえは主観で健側の右耳の聞こえを10とすると3程度との報告を受けている。聞こえ方としては言葉として理解出来ないとか、音が割れる様な状態ではなく単に聞こえが悪い感覚の様である。耳鳴りは確認できない。
【施術と結果】本症例は難聴の症状であるが、ご本人の主観として全く聞こえていない状態ではなく、健側に比べて約3割との報告を受けている為、耳への血行不良を改善できたら聴力が改善する可能性があると考え施術を行ってみる事とした。
先ず、ご本人の前方約1mの位置で声掛けをして聞こえを確認する。健側、患側それぞれ片方ずつ聴き比べていただき、ご本人の訴え通り患側の左耳の聞こえは健側の右耳に比べて約3割であると確認した。先ず、後耳介動脈周辺で左乳様突起前方の顎二腹筋辺りの緊張を触察により確認し、同部位に緩消法を約1分行い筋弛緩を確認した。その結果、施術前に聞こえ方を確認した方法と同様に聞こえ方を確認していただいたところ、ご本人の主観で健側を10とすると患側の左耳の聞こえは6であるとの報告を受けた。
効果が確認できた為同箇所にさらに1分行い筋弛緩を確認したがそれ以上の改善へ確認できなかった。次に施術箇所を左乳様突起より近位の頚部に移行し触察により筋緊張を確認し緩消法を約2分行い筋弛緩を確認したが聞こえ方の変化は確認できなかった。その後は元々の目的である腰部の筋弛緩を行い初回は終了した。一度の施術で明らかな改善がみられた為、施術を継続する事を望まれた。
その後、同様な施術を1週間間隔で2回行い、現在ご本人の主観で8割改善したとの報告を受け、20年も悪かった耳の聞こえが改善して凄く喜んでいただけた。