【患者】40代後半 男性
【主訴】1か月くらい前と2か月くらい前にスノーボードで右腕を怪我してからずっと痛い。
【既往歴】右肩腱板断裂術後(約17年前)
【現病歴】約1か月前に、スノーボードで林間コースを滑走中に右上肢を木の枝に引っかけてしまい負傷した。翌日は痛みにより右肩関節外転動作が全く出来なくなったが、その後も右上肢を庇いながら連日滑走し続けた。約2か月前も同様に同部位を負傷している。
続きを読む
【現症】右肩関節可動域(以下、ROM)は自動にて水平伸展約0°で右棘下筋周辺に痛みが出現。
【施術と結果】本症例は、右棘下筋周辺に動作痛を訴えており、触察にて腫脹及び熱感がないことと、発症してから約1か月経過していることから、その要因として右肩関節周辺の筋緊張によるものと推察した。
はじめに、右棘下筋周辺の痛みを訴える部位を触察したところ、筋緊張を確認した。筋緊張部位に緩消法を約30秒行うと限局した痛みを訴えた。同部位に緩消法を約30秒行うと限局した痛みの位置が少しずつ移動したため、位置を確認しながら緩消法を約3分行った。結果、主観により限局した痛みが表面から奥の方になったとの報告を受けた。施術中、右肩ROM水平屈曲動作で第7胸椎(以下、T7)高位の右肩甲骨内側縁に引張感を訴えたため、同部位に移行し緩消法を約30秒行うと、引張感を訴える部位周辺に限局した痛みが出現した。同部位に緩消法を約30秒行い、筋弛緩を確認した。再び右棘下筋周辺に限局した痛みを訴えたため、位置を確認しながら緩消法を約3分行い、筋弛緩を確認した。結果、右棘下筋周辺とT7高位の右肩甲骨内側縁の痛みは10から3(NRS改変)と小さくなった。
次に、右棘下筋周辺及び右肩甲骨内側縁の筋緊張の要因と再発抑制のためには、腰部の筋緊張を弛緩する必要があることを説明し、腰部両側面の施術に移行した。腰部両側面の筋緊張を確認し、緩消法を約15分行い、筋弛緩を確認した。結果、右棘下筋周辺とT7高位の右肩甲骨内側縁の痛みは10から2(NRS改変)と小さくなり、右肩ROMは自動にて水平伸展約20°と大きくなった。主観により右肩甲骨内側縁の引張感はなくなり、違和感が1割残存している程度との報告を受けた。緩消法で怪我の痛みが小さくなることを実感し、また趣味のスノーボードができると喜ばれていた。