【患者】 60代後半、女性
【主訴】 約1年前に右の中指がばね指になり、それから指が曲がらなくなった。右手を握るのが難しい、右手の指が手のひらにつかない。
【既往歴】 近医にて右中指弾発指と診断
【現病歴】 約1年前に右中指弾発指を発症し、右中指近位指節間関節(以下、PIP関節)の屈曲時に疼痛があり、把握動作が困難になった。近医にてブロック注射数回試したものの弾発現象と屈強時の疼痛は少し改善が見られたものの戻りがあり把握動作の困難感は残存している。そのため手術をしようかしまいか悩んでいる。
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【現症】 右中指PIP関節屈曲約50°が限界であり、右中指弾発指を発症する。屈曲時にPIP関節から中手指節関節(以下MP関節)間の背側に疼痛あり。
【施術と結果】 本症例は、右中指PIP関節からMP関節間の疼痛による屈曲制限と右中指弾発指を訴えていることから、目視にて、浅指伸筋腱周辺の肥大が確認できたことから、浅指伸筋腱周辺の肥大が右中指PIP関節屈曲困難感の要因であると考えた。
まず、右中指PIP関節からMP関節間の浅指伸筋腱周辺の肥大を緩消法にて約30秒弛緩したところ、疼痛が主観で10から8(NRS改変)と減少した。疼痛が減少したため、同部位を緩消法にて約2分弛緩したところ、疼痛は主観で10から6(NRS改変)と減少し、右中指PIP関節屈曲約60°まで可能となった。
右中指PIP関節屈曲制限は、浅指伸筋の筋緊張が浅指伸筋腱の肥大を誘発すると考え、浅指伸筋の筋腹周辺を触察したところ、筋緊張(癒着様なもの)が確認できたため、緩消法にて約2分弛緩したところ、右中指屈曲約70°まで可能となりほぼ手のひらに着くようになった。
今度は浅指屈筋の筋腹周辺は筋緊張(癒着様なもの)が確認できたため、緩消法にて約5分弛緩したところ、疼痛は主観で10から3(NRS改変)と減少し、把握動作が可能となった。約1年悩んだ末、良くなることはないとあきらめていた症状が改善したことで手術はキャンセルするとおっしゃっていました。